コメント欄から見るはてなブックマーク


ここしばらく「便利だから使ってみたら?」という内容の記事を書いてるソーシャルブックマーク、まぁ具体的に私が使ってるのははてなブックマークなんですけど、あえてあまり使ってない機能があります。


それはコメント機能


はてなブックマークでは、ある記事(サイト)をブックマークした際に、3つまでのタグ全角50文字までのコメントを残すことができます。しかし、このコメント欄が共有されて多くの人が閲覧できるがゆえに、さまざまな可能性を秘めたものとなっています。


このはてなブックマークのコメント欄について、不備日報さんがテトラッドを使って興味深い考察を行ってました。
■不備日報: はてなブックマークのコメント欄が私たちにもたらしたもの


かなり強引にまとめちゃうと、こんな感じです。(私なりの解釈ですので、ちょっと元とは違うかもしれません)

強化:自分の記憶機能の強化、ブックマーク・コメントが自分の外部記憶となる。
衰退:元記事(サイト)のコメント機能の衰退、交流のスタイルの変化。
反転:コメント欄でのコミュニケーションが行き過ぎると、本来の情報を得るという手段を失う。
回復:元記事(サイト)について自由に語り合える場の提供、コメント欄文化。


それぞれについてはてなブックマークのコメント欄」というお題で、私も考えてみたいと思います。


強化:自分の記憶機能の強化、ブックマーク・コメントが自分の外部記憶となる。


そもそもブックマーク自体は自分の興味のあるサイトに付箋を貼っておくということに該当し、コメントはそのとき付箋に書き込むちょっとしたメモにあたります。

これをはてなブックマークというシステムで実行すると、自分の興味という情報をはてなブックマーク上に残すことになり、自分のコメントでは内容についての補足など、他人のコメントは他者の視点からの考えが読めるので、より広い視野での情報の理解に役立ちます。

さらにタグによる分類・整理から、関連情報へのアクセスが容易となり、情報を得ようと思えばかなり効率よく情報を集めることができます。人が有用と思った情報の集まり=ブックマークされた記事ですから、ある意味googleで検索するよりも有用な情報にたどり着ける可能性が高いとも考えられます。

googleはrobotがサイト情報を集めてきますが、はてなブックマークではブックマーカーが情報を集めてきています。量ではgoogleに分がありますが、質でははてなブックマークの方がよりよい情報を集められる可能性があります。


衰退:元記事(サイト)のコメント機能の衰退、交流のスタイルの変化。


元記事のコメント欄は「記事作者と読者のコミュニケーションの場」であり、はてなブックマークのコメント欄は「同じ記事に興味を持ったブックマーカー同士のコミュニケーションの場」となります。

記事にコメントをつけるのは敷居が高くても、自分のブックマークにコメントをつけるのはほとんど抵抗感を感じないんじゃないでしょうか。


これは、面と向かっては言えないことでも、面と向かってなければ言えるということでもあり、ある種2chのような匿名掲示板で発言するという行為にも似た部分があると思います。

はてな内では、まだはてなブックマーク利用者がある程度いるからましだと思いますが、はてな外で「はてなブックマーク何それ?」な人たちに取っては、自分の知らぬ場所(はてなブックマークエントリ)で自分の記事に対して好き勝手言われ放題にされている=2chで晒されているのと同等、と感じる人も多そうです。


アカウント名は表示されますので匿名って訳ではないのですが、自分の記事につけられたブックマークエントリ画面のコメント欄で何か言われていても、それに反論するすべはほとんどありません。引用して反論したところで、そのコメントを書いた人がその反論を読んでくれる可能性は低いですから。


コメントにどんな内容をつけるかはブックマーカーの自由であり、こうした反論を受けにくいという状態を認識した人の中には、「殺伐」「批判・攻撃的」なコメントをつけるのに夢中になってしまう人がいても不思議ではありません。



自分が知らない場所で自分の記事について何か言われてる!という状況を解消するために
はてなブックマークでブックマークしたサイトがトラックバックを受け付けているときは自動的にエントリ画面からトラックバックを送る」
という仕様にしたら、記事のコメント欄とまでは行かなくても記事作者がブックマークされたこと、コメントがついてることを確認することが出来るようになるので、いいんじゃないかな、と思ったんですが、いかがなもんでしょうか。

ブックマークエントリの情報は、その記事についてブックマーカーの視点ということで、トラックバックするに値する内容であると思うし。

ブックマークコメント欄を記事自体にトラックバックで反映させることによって、記事作者にも読まれるという意識から「殺伐」「批判・攻撃的」なコメントは少しは減るのではないかと思うのですが。


該当はてなアイデアがあったので、ベット。

idea:4777 はてなアイデア


反転:コメント欄でのコミュニケーションが行き過ぎると、本来の情報を得るという手段を失う。


あくまで、はてなブックマークソーシャルブックマークであり、個々のブックマーカーが自分の興味のある話題をブックマークすることで成り立つシステムです。

コメント欄でのコミュニケーション、お気に入りの登録・利用によるブックマークの同一化などによってブックマーカーが自分の興味のある話題を探してくることをやめてしまうと、ブックマークという情報の入力が減り、だんだんと内輪受けな内容(ブクマ)が多くなると思われます。


より価値の高いアウトプット(はてなブックマークのニュースサイトとしての利用価値など)を得ようと思ったら、多くの入力(ブックマーク)を与えないといけないという点を忘れたら駄目だと言うことです。


回復:元記事(サイト)について自由に語り合える場の提供、コメント欄文化。


これは「衰退:元記事(サイト)のコメント機能の衰退、交流のスタイルの変化。」と同じようにコメント欄でのコミュニケーションについてなのですが、例えばもともとコメント欄が無い記事の場合だと、コメント欄というコミュニケーションの場を与えられたことになるし、「殺伐」「批判・攻撃的」になり過ぎないように気をつければ、より低い敷居で同じ記事に興味を持った者同士のコミュニケーションに参加できる場ともなりえます。

コメントが50文字という制限があるのは、システム側の都合もあるでしょうが、逆に制限があるゆえの面白さもあります。

この辺は不備日報さんの考察が素晴らしいところをついてると思います。

50文字の字数制限がキツイという意見が出るのは、おそらく散文としてコメントを使っているからであり、コメント欄をひとつの詩、タグを様式、字数制限を五七五のような「型」だと思って運用すれば、「50文字はキツイ」とは思わないはずだ。
コメント欄の50文字制限は、使い方の洗練が続けば、詩歌の回復につながる。

また、ブックマークされた記事に定型の短いコメントが時系列についていくさまは、日本の伝統である連歌を連想させる。

結局コメント欄って何?


はてなブックマークのコメント欄について、不備日報さんの記事を元にいろいろと考えてみましたが、実はコメント欄がなくてもソーシャルブックマークとしての機能は十分に成り立つんですよね。

ブックマーク、タグ付け、お気に入りくらいで十分といえば十分。


じゃ、コメント欄はどう使えばいいのか?


そこはブックマーカーの思惑しだいな訳です。

「殺伐」「批判・攻撃的」な内容を書きなぐる便所の落書き的な使い方をする人もいるだろうし、自分の防備録として使う人もいる、同じ記事に興味を持った人とのコミュニケーションとして使う人もいれば、ネタのために使う人もいる。

いろんな使い方が考えられるだけに、その利用法はこれからもまだまだ考えていく余地があると思います。


そう考えると、ブックマーカーを評価する方法として、その人がどういう傾向のコメントを残す人なのかを残せる、というしくみがあっても面白いかもしれません。

ブックマーカーにタグをつけるとか(笑)


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