賢明なブログ読者の反応やいかに
- 作者: 岡田斗司夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/08/16
- メディア: 新書
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「レコーディング・ダイエットのススメ: 賢明なブログ読者の皆様へ」を読んで。
岡田斗司夫氏の「レコーディング・ダイエットのススメ」アイデアにおける著作権の侵害に当たる可能性が極めて高いとして、サービスを停止することとなった「いいめもダイエット」サービスの件(いいめも開発ブログ | いいめもダイエット サービス停止のお知らせ)に関する岡田斗司夫氏の見解がブログで公開された。
「アイデアに著作権なし……それでも「いいめもダイエット」サービス停止 - ITmedia Biz.ID」などにあるように、アイデアは著作権にあたらないのではないか?というネット上の指摘が多くあり、それについてどう返答するのか期待して見に行ってみたのだが。
レコーディングダイエットの件は納得できる、が
なぜ「いいめもダイエット」がレコーディングダイエット用として使われることをまずいと思ったのか、に関する岡田斗司夫氏の説明には納得できた。私自身も「いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)」は実際に購入してすでに読んでいて、単に食べた物の記録だけではないのを知っていたせいもある。内容を誤解されたくないために、「いいめもダイエット」をレコーディングダイエットと関連づけられては困る、という主張はもっともだ。
でも、そう主張するために、著作権侵害という言い方をするのは違うと思う。「いいめもダイエット」側にレコーディングダイエットと関連付けてもらっては困ると主張し、サイトで関連があるかのように書かれているのを取り下げてもらうのではいけなかったのだろうか?
この
しかしながら、著者の岡田氏より、「記録をしてダイエットに結びつけるという発想は、私の著作からスタートしていますので、見た目上はただの記録するのに便利なものですが、それをダイエットに結びつけているという点で言えば、私の著作の核心と同一ですので、著作権の侵害に当たる可能性が極めて高いと思います」などのご指摘をいただき、「「いいめもダイエット」の取り下げを希望いたします」と求められました。
という部分について、今回の説明では一切触れられていなかったのが非常に気になった。
別エントリでもいいので、是非この件についても説明してもらいたい。
引用と転載の違い
そして、もうひとつ気になった点が、
以下の文章は「ノーカットで」という条件で引用・転載自由とします。
という部分。(あえて、この部分を引用しています)
「ノーカットで」しか引用できないのだったら、それは単なる転載でしかない。
一般的な引用の理解としては、
一般に、適切な「引用」と認められるためには、
1. 文章の中で著作物を引用する必然性があること
2. 質的にも量的にも、引用先が「主」、引用部分が「従」の関係にあること。引用を独立してそれだけの作品として使用することはできない。
3. 本文と引用部分が明らかに区別できること。例『段落を変える』『かぎかっこを使用する』
4. 引用元が公表された著作物であること
5. 出所を明示すること(著作権法第48条)
が必要とされる。
が妥当だろう。
あのエントリを全文引用してしまったら、引用元が「主」、引用部分が「従」というのも成り立たなくなってしまう。(あの文章より長い見解を述べればいいのかもしれないが、そんなのは言うまでもなく非現実的)
おそらく岡田斗司夫氏は部分引用され、曲解や揚げ足取りをされることを避けたかったのだろうと思われる。
確かにネットで何かを書いて、それに対して引用を用いて何かを言われるときは、たいていの場合でこちら側が意図していなかった読まれ方をしていることが多い。
個人の弱小ブログ程度であれば、個別に対応して「そこはそうではなくてこういう意図で書いています」と説明するのも可能だろうが、有名人のブログともなると応対できる量ではなくなってしまうであろうこと、また多忙でいちいちひとつひとつの意見に対応している余裕がない、というのもあるだろうが、それと引用を制限する、というのは別だと思う。
引用は自由に行ってもかまわないと思う。
せっかく分かりやすい説明、納得のいく説明が行われているのに、この「部分引用を認めない」という部分が多くの反発を招いているのが、コメント欄やはてブコメント欄を見てもよく分かる。コメント欄では「部分引用を認めない」ことへの皮肉をこめて、わざわざ全文を引用している人まで現れているくらいに。
あの本文での説明に関して特に異論はないので、ここで部分引用することはないが、正直、あの書き方は多くの人の反発を無駄に招きかねない表現だと思う。
本文では納得のいく説明がなされているだけに、「著作権侵害に関する説明がない点」「(部分)引用を認めないと主張している点」で多くの読者の反発を招いているのが残念。