ネットに何を書いて、何を書かないかという話

ネットという世界中に向けて個人が自由に低コストで発言できる場ができてまだ十数年。

法に触れること(相手に訴えられるレベルの誹謗中傷、犯罪を助長する恐れのある情報など)以外なら、自分の書きたいことを自由に書けばいいんですが、じゃあ一体どんなことを書くのか、またどんなことは書かない方がいいのか。その辺、なかなか判断が付かないこともあると思うので、私が考えてる発言内容とそれを書くことについての話を。


ネットで書く情報の種類とそれに対してのリターン予想

  • 自分の好きなモノ、趣味、話題
    • 好きなことを書くのはネットに何かを書くときに一番無難で安全なジャンルと言えます。自分の好きなことを書いてるうちに、それを見にやってきた同じ物が好きな人と知り合って同好の士を見つけられるかもしれません。ただし、好きなモノを語るときに比較対象で別なモノを貶める書き方をしてると、そこからいざこざになることもあるので注意。
  • 自分の嫌いなモノ、趣味、話題
    • ネットで自由に発言できる、そして場所によっては匿名で発言の責任を問われない位置から書き込めるってところから、普段はなかなか言えないような、自分が嫌いなモノについて、それを叩く発言、如何にダメかをこんこんと書き綴る文章、好きなモノを語ってる人に泥を投げつけに行く人ってのは後を絶ちません。基本的に自己満足な行為。その書き込みで自分は満足するかもしれませんが、それに関連してる他人に負の感情を植え付けます。より攻撃的な書き方になればなるほど反撃を受けやすく、泥仕合になることも。ネットを有効に活用したいのなら、こういうことは書かない方が無難です。
  • 仕事に関する話題
    • まずは、自分の仕事の守秘義務に違反してないか注意。おおっぴらに公開してはイケナイ仕事上の情報を勝手に公開してたら、最悪の場合職場から解雇されることもあり得ます。オープンに書いていい情報をネット上で書いて話題になったり反応をもらったりすることは、場合によっては仕事上でプラスになりますが、トラブルになると逆効果な場合もあることを忘れずに。後、仕事の話を書くと、必然的に本名が知られることになったりもするので、ネット上とリアルとで名前を使い分けたいと思ってる人はそこも注意。
  • 愚痴、相談事、質問
    • 掲示板や質問サイトなどでさまざまなジャンルについての愚痴、相談事、質問を書いて、その反応、答えを聞くことができます。愚痴、相談事のときは、自分の考えに同意して欲しい一心で書き込んだけど、逆に大勢のギャラリーから大ブーイングを浴びることに・・・なんてのもネットで良く見掛ける流れ。質問系のサイトではルールやマナー的な物があることが多いので、それを確認してから書き込みましょう。(過去ログで類似の質問がないかを確認する、マルチポスト(同じ質問をあちこちの掲示板に同時に書く行為)はしない、質問は要点をまとめて状況をしっかり書く、答えをもらったら解決できたのか、ダメだったのかをきちんと報告する(答えてくれた人への礼儀として)、などなど)。質問サイトで回答を書き込んでくれる人はボランティアなので、「答えてくれて当然!」みたいな態度は一番嫌われます。
  • レビュー、口コミ情報
    • 商品のレビューや口コミ情報ってのは、同じ商品や店を購入・利用したいと考えている人達の参考となります。ただ、実際のレビューや口コミを見ていると、全く参考にならないゴミ情報が多いのも確か。購入前に確認できる但し書きや必須条件等を確認せずに購入し、「使えなかった!こんな商品ゴミ!」と吐き捨ててるレビューとか、格安ツアーなどで来ているのに、最上級なサービスを要求してそれが叶えられないと喚いている口コミ情報とか。自分の独りよがりな感想じゃなくて、その商品を購入する人や店や宿などを利用したいと考えてる人が知りたい情報って何だろう?って視点を持ちながら書くと参考になるレビューが書けて、他の人が助かります。
  • 個人的な考え、思想、意見
    • 基本的に何を書こうと自由なネットの世界ですが、誰かを攻撃したり、批判したりする書き込みをする人は、書かれた相手も同様に反撃してきたり、こちらを批判してきたりできるってことを忘れがちなことに注意。あなたが自由に書き込めるように相手も自由に書き込めるので、「私はあなたの批判をするけど、あなたは私の批判をしてはならない」という論理はネット上において通じません(が、こういう主張をする人が案外多いのも事実)。

ネットに何を書いて、何を書かないかという話


ネットに何を書いて、何を書かないか、というのは自分で選択できるので、うまく選択して書き込む内容を考えると幸せになれます。



無駄なトラブルを招きかねない個人情報やリアルに関連する仕事や学業の話はうまくコントロールできる自信がないとか、関連づけたくないのなら控える。


他人を攻撃する発言はもちろん自分にも跳ね返ってくるのでそれ相応な覚悟をして書き込む(炎上書き込みしてた人達が逮捕された話題はついに実際に取り締まられる段階まで来たか、という)、もちろん書き込まないにこしたことはないです。


どうせ書き込むなら、ちょっと工夫して他人が読んで参考になるとか楽しくなるような書き方を考慮すると読んでくれる人が増える。これは持って生まれたスキルというより後からの訓練で十分に身に付くスキルです。


ネットは週刊誌の裏表紙なんかに出ている「怪しげなネックレスを付ければ恋から金銭、仕事まで何でも大成功」みたいな場所じゃないってことに気づいて、地道に書くのが一番。



長年、ネットを使い続けている人とかは、こういうルールみたいなものを自分の中に持っている人が多いです。


ネットでいろんなサービスを利用してきて感じたこと


他にもいろんな情報を書き込むことができるネットですが、大勢の人がいままで利用してきている流れから、よく問題視されがちな部分なんかはどんなサービスや場所でもだいたい一致します。

私がいろんなサービスをたくさん利用してきて、大雑把に感じるのは以下の様なこと。

  • ネット全域において通じる共通ルールみたいなものは存在しない
  • ネット上のあちこちのサービス上で語られるルールやマナーは、ごく一部の人によって作られた局所ルール・マナーなことが多いので注意が必要
    • 自分がされて嫌なことを他人にしない、というのは一見分かりやすい主張だけど、「自分」に該当する部分は参加者それぞれで全然違ったりすることが多いのでこれを判断基準に用いるのは誤解や混乱の素
  • 見られて困ることはネット上には書かない。オープンな場は誰でも見に来る事ができるという想像力を持つ。一旦公開した情報は、削除してもコピーが残り続ける可能性もある。アクセス権をコントロールできるのなら、有効活用する。でも、人を通じて漏れることもあるので、過信しない。
  • 自分の観測範囲は頑張れば広げられるけど、どうやっても全体を見通すのは無理。自分の見えてる範囲での「全て」は全体においての「全て」とは異なるごく一部分での話にすぎないことを忘れない。(「私の周りではみんなそうです!」という主張の根拠の弱さ)
  • 世の中、相容れない主張な人は絶対にいる。それもたくさん。相手を言い負かそうとか、叩きつぶそうなんて考えずにスルーするのが正解。
  • ネットで見える誰かのキャラクターはその人の100%ではない。勝手に理解した気にならない。
  • ネットに自分が書いたことの真意が正しく伝わることはまずない。どこかしらかちょっとずつ誤解されてたり、大きく勘違いされてたりするのが普通。書き方で随分変わるけれども。
  • 真意が伝わらないなら書く意味がないなんてことはない。伝わらないからこそ、互いに伝えるためのすりあわせ(コミュニケーション)を取るのだから。
  • ネットに自分が書き込んだことの価値を決めるのは自分じゃなくて、それを読んだ誰か。
  • ネットはゴミばかりって人はゴミしか書き込んでいない。素晴らしいって主張する人はそういう情報を書き込んでいる。
  • ネットもリアルも変わらないことが多いけれど、違う部分を考えると、ネットはログが残るので過去をなかなか消せないこと、リアルでは考えられない速度で情報が拡散していくので、問題発言は想像以上の被害になりうること、逆にいいことが広がる速度や盛り上がるってのも拡大しやすい。リアルでは情報を隠して占有してた方が成功しやすいけど、ネットでは公開して共有した方が成功しやすい。
  • つくづくネットってのは、自分の行動を移す鏡みたいなもの。


これは、私がネットを利用しながら経験してきた15年から得た教訓みたいもの。


これからネットでもっと活動しようかな、って人達は、そんな所なんだと参考にどうぞ。