セルフブックマークはスパム行為なのか?


ソーシャルブックマークが流行ってくるにつれ、ソーシャルブックマーク最適化なる言葉が出てくるようになりました。ソーシャルブックマークに拾われやすいタイトル、そうまるで電車の中吊り広告のようなタイトル(笑)をつけたり、なんとかしてソーシャルブックマーク被ブックマーク数を上げて、アクセスアップを図る、という類の最適化です。


自分の書いた記事についてブックマークする行為について、ブロガーとブックマーカーの視点からどう考えるかを、
北の大地から送る物欲日記 - ブロガーとブックマーカーとしての苦悩
で書きましたが、その後ブックマーカー側の視点の記事をいくつか見つけたので、ソーシャルブックマーク最適化とスパム行為について書いてみようかと思います。



■antipop - 自 Blog のエントリを自動的にブックマークすることにより、ソーシャルブックマーク最適化を施す

という自分のエントリを自動的にブックマークする方法についての記事に対して、以下のような反論があげられています。

玉石混淆なウェブの中から、あえて「ブックマークする」という行為を経たからこそ、SBMには質の高い、有用なページが集まっているというにもかかわらず、そいつを自動化しちゃってどうのこうのってのは本末転倒。背に腹が帰られないかもしれないが、このスパムまがいの行為には憤りを隠せない。


たしかに宣伝を目的としたブックマーク行為をブックマーカーが嫌悪する気持ちは、私もソーシャルブックマークを愛用しているブックマーカーだから良く分かるのですが、なんか腑に落ちない感じを受けました。


一人でいくつもの別アカウントを利用して被ブックマーク数を稼ぐ行為だったら、問答無用でスパム行為として非難されるべきだと私も思うのですが、自分のサイト(ブログ)を持つ人は、自分が書いた記事にブックマークする権利はあると思うんです。


ブックマーカー側は「それは宣伝だ」と声高に主張する人が多いのですが、そもそもソーシャルブックマークにおけるブックマークするという行為はどういうことなのか。

自分が興味を持ったサイトをクリップする、という意味だと思うんです。

自分で書いてる記事なんだもの、自分が興味があることを書いてる訳で、そう考えれば自分の記事を自分でブックマークする行為も別に問題ないと思えませんか?


もちろん、明らかに宣伝目的で中身がまったくない様な記事までばしばしブックマークしまくってるような人もいるかもしれません。確かにそういう人のブックマークはソーシャルブックマークとしたらノイズになるでしょう。

でも、そういう記事が果たして他人にブックマークされると思いますか? それこそ別アカウントで一人でいくつも被ブックマーク数を稼ぐような行為をしない限り、ブックマークされることはないと思います。

また、そういう人のブックマーク一覧を見れば、その人はブックマーカーとしての価値は非常に低い人だと判断できるのではないでしょうか。



私としては、自分が書いた記事について、他人だったとしてブックマークしたいと思えるか? 思えるんだったらブックマークしてもかまわないんじゃないかと思います。ここなら、記事については気分しだいでセルフブックマークしていますし、どうでもいいような自分メモなどは、まったくセルフブックマークする気にもなれません。


del.icio.usをはじめとするSBMの類は、キャズムで言うところのいわゆるイノベータやアーリーアドプター(アルファギークとも言うらしいぞw)の層が厚かった頃は密度があっておもしろいものだった(今のmixiみたいだねぇ)。

ところがどっこい、例によって暇をもてあます学生ちゃんやオバハンどもレイトマジョリティー以降の、どうにもコメントしがたく、独りよがりに終始する「チラシの裏」が、エントリー送信ボタンをポチっとするごとに、愛すべきdel.icio.usの新着に並ぶかと思うと寒気がする。


ここはソーシャルブックマークの発展を考えると、まったく逆なのではないかと。

確かに今ソーシャルブックマークをすでに利用している人々にとっては、初期の頃の濃度が高かった頃の方がおもしろいものだった、と思えるかもしれません。

ただ、それはイノベーターやらアルファギークやら、新しいサービス好きな人々にとってそうであっただけに過ぎず、後から来た「ソーシャルブックマークって何?」という普通の人々にとっては、良く分からない話題ばっかり上がってきて面白くない、とも言えるわけです。事実、はてなブックマークでもそういう話をよく聞きます。


ソーシャルブックマークがより一般的になってもっと幅広いジャンル、話題でも同じように機能するようになるためには、そういうことに関心を持っている層に多くソーシャルブックマークを使うようになってもらって、そういう記事を拾ってきてもらわないといけません。


自分が興味のある話題をソーシャルブックマークから拾ってくるには、そういう記事をブックマークしてくれるブックマーカーを見つけ、その人たちのブックマークを追いかければいいのです。はてなブックマークでいえば、お気に入りの機能がそうですね。

現状では、ただお気に入りにユーザーを登録していくだけになっていますが、ソーシャルブックマークの面白いところはここの部分の料理の仕方によって、さまざまな出力が望めるところではないでしょうか。

del.icio.usの方のしくみは、使ったことがないので分からないのですが、決してアルファギークやイノベーターだけのためのツールという訳ではないと思います。


ソーシャルブックマークの次のステージは、おそらくブックマーカーの性質(どういうジャンルに強いとか、話題になる記事をいち早くブックマークしているとか)を評価し、タグなどと同様にブックマーカーというくくりでも出力できるような形になるのではないかと予想しています。

もっといろんな人にソーシャルブックマークを利用してもらって、より多くの記事が集まってきたら面白いだろうなぁと。