はてなと共に歩む


はてなが消費されないことを望む::したらば元社長日記
FIFTH EDITION: はてなのいつか終わる夢」を読んで。

半年ほど前のエントリですが、はてなブックマークで浮上してきてるのを見て読みました。

日経新聞とかを読んでいたら、ライブドアの対比として、はてなの名前があがっていました。まあ、「ライブドア→金儲け系会社」であり、「技術系会社だとアメリカにGoogle」があり、「Googleみたいな日本の会社として」はてながあげられたという感じなのですが。

マスコミの話題としての商品寿命って意味なら、別に賞味期限とかあってもなくてもどっちでもいいかなぁと思います。

私ははてなのサービスを気に入って愛用していますが、別にそれはマスコミが取り上げたからではなく、自分で使ってみてはてなのサービスが素晴らしいと実感したからで、それをマスコミがどう扱おうがそれによって自分の判断が変わることは無いから。


でも、世間が捉える「はてな」という会社のイメージはマスコミがどう取り上げるかで大きく変わるんでしょうね。上述のエントリが書かれてから約半年、かなりあちこちで「はてな」が取り上げられて記事になりましたが、今のところは話題のために消費されているというイメージはそれほどありません。



一方の「FIFTH EDITION: はてなのいつか終わる夢」ははてながユーザーを大事にするがために、その終焉を迎えるのでは?という記事。

話を聞いた限りでは近藤さんは、ユーザーを非常に大事に考えているようでした。
けども、おそらく、その姿勢事態が、はてなをダメにするでしょう。
多分、やがては。

ユーザーを大事に考える、ということと、ユーザーの期待に応える、ということ。

これ、同じことを言ってるように見えても、実は微妙に違うんじゃないかと思います。


ユーザーとは勝手なもので、自分たちが気に入ったものに対してどんどんと自分の要望を伝えます。こうあってくれ、こうしてくれ、と。でも、それに忠実に応えていればいい物ができるか?と言うと必ずしもそうではない。いや、そうでないことの方が多いかも。


ユーザーの言うことを敢えて遮断してでも自分たちはこういうものを作るんだ!という意気込みで作ったものが、結果的にユーザーに受け入れられ、その後の発展に結びつくこともあるでしょう。

でも、そこでは別にユーザーを軽んじたり軽視して新しい作ったって訳じゃなくて、ユーザーのことを大事に思うけれども、それと期待に全て応えるということは同じじゃないんだってのがあるんじゃないかと思います。ユーザーのことを大事に考えるって視点は、ユーザーがいる会社として、絶対忘れちゃいけない視点。

漫画や小説、映画を例にあげますけど
ユーザーの声に耳を傾け、血の汗流して作品作り、経営努力をしてコスト削減を
進めた結果が、今の漫画、小説、映画産業の結末です。

どんどん市場が縮小してるんですよね。

何で?って話になるわけですよ。
こんなに一生懸命努力しているのにって。


それらはコンテンツ産業の話で、コンテンツは望まれたものを作ることがいいこと、ではなくて、新しくていい物を見たい!というユーザーの声が聞き入れられていないから、だと思います。


聞くべき声を聞かずに、聞かなくていい声を聞いてしまっている悲劇。


コンテンツは、いくらいい物がベースになっていても、何度も同じものを見せられたらそりゃユーザーも飽きるってものです。必要なのは新しい風。

例えば、ですけど、富良野監督を例にあげますと。
あの人は、ガンダムをこの世に送り出したばっかりに、
その後、ガンダム以外の作品は作れなくなっちまったわけです。

酷いもんですが。

成功の代償というわけですが、
あまりに多くのガンダムファンを作ってしまった故に
ファンを裏切れなくなり、そのファンの期待に常にこたえ続けることを
余儀なくされ続けているわけです。

結果、新しいモノは作れなくなってしまった。
あとはガンダムの遺産で食いつなぐ事を余儀なくされているわけですね。
新しいロボットアニメに「ガンダム」の名前つけて生き延びるみたいな
儲かるが、徐々に廃れていく市場で生きていく。
そんな感じで。


その話はコンテンツ産業の負の面を示している話だと思います。


別なものを作りたいという富野監督に対して、大ヒットしたガンダムの続編を作ることを強要する会社側。そうやって量産されていったガンダムというコンテンツのグダグダさ加減は初代から順に追って作品を見た人ならば分かると思います。

なお、富野監督はガンダムの重圧から逃れたブレンパワード以降の作品では、素晴らしい作品を作り出しています。毎回、これでもかとファンの予想を裏切るような作品を展開してくれていて、いい意味でユーザーの期待を裏切り続けてくれます。



話戻って、「はてな」はコンテンツ会社ではなくウェブサービス会社なので、「ユーザーの期待」にあまり応えすぎてはいけないって面はそれほどないと思います。逆に不具合修正やサービスの安定運営などで、確実に応えなければならない「ユーザーの期待」ってのもあるでしょう。

はてな」がオープンな会社であって、ユーザーの意見を取り入れてくれるシステムがあったり、内部の様子を外部に公開してくれているってのを、私は非常に評価しています。はてな側がユーザーといっしょになって問題解決に取り組んでくれるのだという意気込みを感じるから。

はてな」と「はてなユーザー」の両方で、「はてな」をどうしたらいいのか?というのを考えられるというのは、実はいままでそういう会社はなかったんじゃないでしょうか? ユーザー参加型の新しい会社の形だと思います。


自分がウェブサービスとしてこんなのが欲しいなぁ、なんてのを提案して、それが実現するかもしれない可能性を持ったウェブサービス会社なんて、私ははてな以外には知りません。だから、私は自分が考えるウェブサービスを実現してくれる会社ってことで、はてなに期待し、はてなと共に歩んで行こうと思います。





もし、はてなが終わりそうになったら? そのときはそのときで、どうしたら終わらせないで済むかを考えます(笑)