匿名で発言できる場所はやっぱり必要


デジモノに埋もれる日々: 慣習が生み出す情報連鎖 - 2ちゃんねる型スレッド管理のしくみ」を読んで。

2ちゃんねる以前にもいろんな掲示板が存在していましたが、ここまで巨大に、そしてさまざまな内容を網羅した掲示板群は他にありませんでしたし、これからもたぶん現れないでしょう。

何か気になることがあれば、googleで検索して調べるというのも一つの方法ですが、2ちゃんねるでその内容を含むスレッドを探す方がはるかに簡単に探している情報にたどり着ける場合が結構あります。事実、検索結果に2ちゃんねるのスレッドが出てくることもよくあります。


よく2ちゃんねらーとはどういう人たちなのか?という話題が出ますが、とても一言でまとめられないような多種多様な人たちの書き込みによって作られているのが2ちゃんねるという場所です。板と呼ばれる、各話題ごとのスレッドの集合体によってある程度は集まっている人たちに似たような傾向が見られるかもしれませんが、全体で数百以上の板があってしかもそのテーマはニュース、政治、趣味、スポーツ、雑談などなど、ありとあらゆる分野に渡っています。

普段、2ちゃんねるをよく利用している人なら、そういう集合体が2ちゃんねるなんだってのを分かっていますが、普段利用していない、2ちゃんねるに晒されて攻撃を受けた、など被害者という立場で2ちゃんねるを知った人にとっては、悪の集団、巣窟、みたいに見えてしまうのも仕方ない部分もあるでしょう。


ブログやSNSなんかがここ2〜3年で大きく普及しましたが、これだけ普及しても2ちゃんねるの代わりにはならないかと。自分の場所を持たず、自分と名乗らずに発言できる場だからこそ、あれだけの発言量、情報量なわけです。一箇所で同じ話題について、名乗ることなく大勢の人が会話できる掲示板という場所は、どうしても個人の場所という認識になってしまうブログや、本人と分かるためどうしても発言がもりあがりに欠けがちなSNSでのコミュニティにはない盛り上がりを見せます。

そして、一つのことに関して盛り上がった内容というのは、単なる雑談だけに終わらず、それ自身が大きな情報となりえます。みんなが少しずつ持ち寄った情報が集まることで、良い情報が淘汰されて残り、まとめサイトwikiでまとめられたり、テンプレートとして各スレッドの頭で参照されるようになったりするわけです。

いくらブログで発言する人が多くなったとはいえ、情報量的には匿名掲示板も無視できない量の情報を構築しています。これらの大きな情報源が無くなってしまうとしたら、それはネットにとって大きな損失になるでしょう。



匿名というのは、悪く言えば責任感のない発言、よく言えば自分の属性に縛られずに発言できる、という両方の面を持っており、どちらか片方だけってことはないのだけども、人によっては片方に寄った見かたをしてしまいます。

ネット全体が匿名な発言だけで満たされるって状態を望みはしませんが、匿名で発言できる場所というのもそれはそれで重要な場所なのではないかと。2ちゃんねるが無くなったとしても、おそらく似たような掲示板があちこちにできるでしょう。(規模ではここまで巨大化したものはそう簡単にはできないでしょうが) 

問題なのは、匿名なことをいいことに誹謗中傷や人への攻撃を行ってしまうことであり、これは何も2ちゃんねるに限った話ではありません。2ちゃんねるを罰するのではなく、そういう誹謗中傷や攻撃を行った人々を罰しなければならないのですが、現状ではそれが出来ない故に非難は2ちゃんねる全体へと向かう。


ちなみに私は、2ちゃんねるのヘビーな読者でありますが、書き込んだことは
ある一時期に10数回だけしかありません。しかもその書き込みは 全てトリップ付き
でした。こんな匿名で書き込んだことのない2ちゃんねらーがいても面白いかもしれませんね。

私も読者としてなら、かなり長い間2ちゃんねるを利用していますが、書き込みはそれほど行ったことがありません。

一時期、書き込みを行っていたこともありますが、トリップこそ付けなかったものの、自分の発言は同じスレッド内では最初の発言番号を名前にして書き込んでました。匿名で書き込んでも全然問題の無い場所にも関わらず、なにか自分の発言だという形跡を残したくなるのは、名乗ることで自分の発言に責任感を持たせたいって現われなんでしょうか。

サイト持ちな人々ってのは、少なからずそういう面を持ってるのかもしれません。