日本の製品に欠けがちな新しい体験を提供する視点

大西 宏のマーケティング・エッセンス : 家電は、どうやってスラム化した市場から抜け出すのだろうか - ライブドアブログ」を読んで。


エコポイントやら地デジ移行やらエコ減税やら、日本国内で日本製の物を売るためにさまざまな政策が実行されてきましたが、本来必要としていなかったはずの人達にまで無理矢理に製品を買わせようという流れは需要の先食い、つまりもっと未来にそれを購入しようとしてた人達の購入機会をポイントやら減税やらで先取りしたに過ぎません。それが一段落した途端に本来の売れ行きに戻ってしまう。

ここ数日テレビで報道されている国内の製造業が軒並み赤字というニュースは、ついに需要が減ってることをカバーしきれなくなったか、という印象で見ていました。


人々が求めているのは性能ではなく新しい体験


http://www.nintendo.co.jp/wii/atsumareba_wii/index.html

据置型ゲーム機が少し行き詰まって来てるときに、任天堂Wiiで今までのボタンやレバーで操作するコントローラーとは違う、コントローラーを振り回すことで操作するモーションコントローラーを出して来て新しい体験を提供し始めました。

これによって、普段ゲームをあまりやらなかった層が「コントローラーでゲームをするのは難しそうだから遠慮するけど、その新しいのは何?」と興味を示し、直感的にプレイできることが受けて大きくゲーム人口を増やすのに成功しました。



つまり、新しい体験を提供することで、新たな購買層を生み出したのです。



ゲーム機の話でいえば、その後にMicrosoftXbox360で提供されているkinect、これはコントローラすら持たずにテレビの前で動作することでゲームをプレイ出来ると言う更に新しい体験なのですが、これもまた新たな体験を生み出しています。



日本では、kinectを使うゲーム機であるXbox360がそれほど売れていないのでブームにはなっていませんが、このkinectはその面白さから開発者の間でブレイクしてさまざまな使い方を考えてる人が出て来ています。たぶん、こういう動きが次の新しい技術へと繋がり、それが新しい次の時代の製品へと繋がっていくんでしょう。



それまで何度となく製品化されては失敗してきたタブレット。初めて大きな成功を収めた製品とも言えるiPadも、iPadがあれば何が体験できるのかってのをしっかり前面に出してアピールしてます。



性能が上がるのはダメで、新しい体験ができればいいって訳でもありません。性能はあくまでも新しい体験を提供するために必要な土台であって、性能だけをアピールしていれば良かった時代は終わったってこと。性能が上がって何が新しくできるようになったかってのをもっとしっかりアピールしなければ、その製品の存在意義を認めてもらえないのです。