「自炊」代行行為を許諾する代わりに、業者から著作権使用料を取るという落とし所について

紙の本をスキャナーで読み取り、自前の電子書籍を作る「自炊」の代行業者に対し、スキャン行為を許諾する代わりに、業者から著作権使用料を取る構想が、作家や漫画家などの著作者団体の間で検討されていることが25日、わかった。

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20130325-OYT1T01600.htm

現行の著作権法だと自炊代行は私的複製に当たらないから、業者から著作権使用料を取ることでスキャン行為を許諾する、という落とし所にしよう、ってことなんですかね。なんか、これがアリなら、古本の販売でも著作権使用料取ってもいいんじゃないの?という気もしますが。



読者側が電子書籍が欲しいのにそれが出版社側からなかなか提供されないので、読者側は「自炊」なんていうすさまじく面倒な行為を仕方なく行ってる現状がおかしくて、出版社がもっと電子書籍を提供してくれればそれで解決!な話なんですが。まあ、世の中いろいろあってそうはなかなかならないから、落とし所を探そうとしてこういう構想が検討されてるんでしょうか。



この構想が実現してしまうと「要は著作権使用料が取れればいいんでしょ」的に見えてしまって、作家が「本が裁断されるのを見るのが辛い」とか言ってたのは一体どうなっちゃうんだ、ってことにも。



音楽でもわざわざCDからリッピングして曲を取り込むことで、PCやデジタル音楽プレーヤーで音楽を楽しんでるという形があって。でも、本来はデジタルデータを販売元がネット配信してくれる方があるべき姿で、そこに至るまでに10年以上の時間がかかってようやくある程度満足できるくらいのネット配信が実現してきた経緯があります。

ユーザー側はいくら正規に買いたいと思っても、販売元が提供してくれないものは買えません。



電子書籍もこれと同じ道程をこれから歩んでいくんですかね? 音楽で例えるとCDリッピングが個人でやるのは大変だからそれを代行して行なってくれる業者が出てきたけど、そこに著作権使用料かけるから!って話が出てる、ってことですよね。

いや、デジタルデータ配信にもっと力入れていこうよ………って思いますが。



でも、アナログ→デジタルの移行にかなり時間がかかること、すべてのアナログ媒体の作品がデジタル提供される訳ではないこと、なんかを考えると、かなり長くかかるであろう移行時期に、こういうアナログ→デジタルの変換の道筋が考慮されるだけでもまだマシなのかもしれません。


この話が実現に向かうとしたら、次に話題になるのはその価格や著作権管理団体をどうするかってところでしょうね。