iPhoneのすごさは分かりにくい
「iPhoneは(あまり)売れないかもしれないという話 - Thirのはてな日記」を読んで。
iPhoneが日本でソフトバンクモバイルから発売されることが発表されたけど、あまり売れないかもしれないという話。
iPhoneってのは、「iPod+携帯電話」な装置なんだけど、この携帯電話ってのが日本の携帯電話を指しているわけではない。だから、日本の携帯電話独特な機能であるワンセグだったり、着うた、iモードなんかはiPhoneで利用できるようにはなりそうもない。アップルが日本向けにそれらの機能を搭載したiPhone日本専用モデルを作るとも考えられない。
iPhoneは何か?っていうと、iPhoneでしかないのだ。今のところ、他に類する製品はない。WindowsMobileを搭載したスマートフォンなんかはかなり近いものではあるが、それでも随分と違う。
iPhoneでできること
iPhoneを何ができる装置なのか?という問いに対しては「ネットを活用できるマルチメディアビューワー」って辺りが分かりやすい製品説明だろうか?
音楽、動画、写真を見るためのビューワーとしてのiPhone(これはiPod touchも可能)のすごさってのは、実際に触ってみないと分からない部分が結構ある。マルチタッチで操作できるというインタフェースは、最初こそちょっと戸惑うが慣れてしまえばこれほど分かりやすいものもない。見たいもの、聴きたいものをクリックすればいいだけなのだから。中でもすごいのはフォトビューワー。文字通り指でめくるような感覚で写真をブラウズできるし、簡単に拡大縮小できたりもする。
携帯電話にデジカメが搭載されるようになって、日常的に携帯電話でいろんなものを撮影することが増えたけど、撮った写真をそのまま”快適に”ブラウズできる携帯電話ってそんなに多くないんじゃないだろうか? そういう点でiPhoneは優れている。
ただ、タッチパネルはある場所をタッチする分にはいいけど、スライドバーのようなものは操作しにくいという欠点があって、音量調節や動画の時間指定などは正直使いにくい。確かiPhoneには音量調整用のスライド操作部分が画面以外にもあったように記憶してるのだけど、それの操作性はどうなんだろう?
着うたが今の若い世代で爆発的に広がってる理由として、聴きたいときにすぐに購入できるっていう手軽さがあると思う。これは、iPod touchでWi-fi Music Storeを体験してみてよく分かった。手元の端末で簡単に曲を選んで30秒視聴でき、ほしければワンクリックですぐに購入ってのは想像以上に購買意欲をそそる。これに比べたら、他のネット配信手段のなんと面倒なことか。
iPhoneでもWi-fi Music Storeは利用できるが、残念なのはiTunes Music Storeでは日本で売れ筋な楽曲があまり提供されていないところ。個人的には曲をバラバラに分割した状態で提供される着うたや、購入端末以外での使用が面倒そうな着うたフルには興味がないので、是非ともiTunes Music Storeでもっと多くの楽曲を提供してもらいたいのだけど、なかなかそうはならないみたいで残念。
ウェブに関しては、携帯電話で携帯用のサイトを見る人にはそういうサイトはおそらく利用できないだろうからオススメできないけど、PCでウェブをよく見る人には非常に便利。携帯電話のフルブラウザで落胆した人も試してみる価値はあるくらいよく出来てる。(もちろん、完璧にPCと同じように利用できるわけではないけれども)
iPhoneの液晶は解像度が480x320で日本のいまどきな携帯と比べるとそんなに高いわけでは無いにも関わらず、快適にウェブブラウズできるのは、拡大縮小、スクロールがタッチパネルで簡単に操作できるから。見たいカラムをダブルタップすることで、そのカラムを拡大表示してくれるとかが便利。いったんコレになれると、携帯でボタン押しながらずずずずずずっとスクロールってのは耐えられなくなる。
iPod touchでウェブブラウズするとこんな感じ。操作がぎこちないのは、使い始めだったのとカメラに向けて操作してるせい。
世界中の多くのサイトがiPhoneやiPod touch上で閲覧するのに適した形のサイトを提供し出しているのを見ると、もしかしたら日本の携帯向けのサイトの中にはiPhone向けに最適化したサイトを作るところも出てくるかもしれない。日本ではまだiPod touchしか発売されていないにも関わらず、結構な数のサイトがiPhone/iPod touch用のサイトに対応してきているところから、こういう流れが加速するってのは十分ありうる話。
iPod touchではjailbreakと称された外部アプリを導入するためのソフトウェア的改造が流行していて、それを使っていろんな外部アプリを試すことで、iPhone/iPod touchではこんなにいろんなことに使える可能性があるんだって未来を垣間見させてもらった。
アップルは、iPhoneを次の世代にバージョンアップさせるに伴い、その外部アプリをも取り込んでiPhoneの世界を拡大させていくことをすでに発表しており、もうすぐ発表になるであろう新しい環境を心待ちにしている。購入した時点の機能でおしまいではなく、その後もどんどんと進化していく端末ってのは、正にPC的な進化であり、他の携帯電話にはあまりない特徴でもある。
iPhoneの優れているところって、スペックみたいに分かりやすく数字で表せる部分じゃないところにあるから、実際に使ってる人やそれを想像できる人には分かっても、そうでない人には非常に分かりにくい。なんともアップルらしい製品。
日本でiPhoneが発売になったとして、おそらく最初は爆発的に売れるだろうが、その台数はせいぜい数十万台といったところだと思う。ただ、1%にも満たないであろうこのシェアから何かが変わっていくであろうことはなんとなく想像できる。