ラジオ放送の新たな可能性に立ちはだかる権利の壁


地下鉄で聴けるラジオ、サポートはTwitter――TOKYO FM、iPhoneアプリの意外な反響 (1/2) - ITmedia News」を読んで。

iPhoneでFMラジオが聴ける、もちろんネット経由でなんだけれども、このアプリにラジオの持つ可能性と限界を感じた。



話題になってるこの「TOKYO FMをiPhoneで聴くアプリ(クリックでiTunesが開きます)」、単にネット経由でラジオが聴けるというだけでなく、いろいろと面白いしくみも取り入れられている。

放送中の番組名や曲名を保存する機能、お気に入り楽曲をメモしておける機能、聴いた楽曲の履歴を自動で保存する機能を備えた。「さっき聴いたあの曲が気に入った」。そんな場合は楽曲をiTunes Storeで検索・購入できる(無線LAN環境下のみ)。ニュースや天気予報などを配信する「見えるラジオ」のテキストも読める。

地下鉄で聴けるラジオ、サポートはTwitter――TOKYO FM、iPhoneアプリの意外な反響 (1/2) - ITmedia NEWS

ラジオを聴いてて、こんな機能があったらなという機能がいくつも実装されており、ラジオを聴いてて出会える新しい曲との出会いをうまくサポートしてくれる。


「お、この曲いいな!」と思った曲をすぐに調べて、購入できるというのはユーザーにとってもアーティストにとっても最高の場であり、こういう形のラジオがもっと広まったらなあ、という新たな可能性を感じることができた。(このアプリは昨年12月21日から一年間の実証実験)


ラジオという形式の限界


大きな可能性を感じさせる一方で、このアプリは

デモシステムは2008年末に完成していたが、出演者や楽曲権利者の配信許諾獲得などにまる1年かかった。

地下鉄で聴けるラジオ、サポートはTwitter――TOKYO FM、iPhoneアプリの意外な反響 (1/2) - ITmedia NEWS

という様に、アプリ自体よりも配信許諾などの権利方面での調整に大きな時間がかかっている。



特定の地域に放送することを目的としたFMラジオを元にして、ネット経由で楽しめるラジオを作り上げたのは素晴らしいのだが、大変な手間をかけて配信許諾を得たにもかかわらず、このアプリは実際のラジオ放送と同じエリアでしか楽しむ事はできない。

技術的には世界中どこででもネットにさえ繋がれば聴けるはずの番組は、配信許諾の壁にはばまれて、現実と同じラジオ放送のエリアでしか楽しめない。この権利はいったい誰の得になってるんだろう?



いっそのこと、ラジオ放送を元にするのではなく、最初からネット上での放送を主とした番組、もちろん配信許諾はそれを前提として獲得する、そういう形で新たな配信契約を結んでユーザーに番組を提供するという試みは出来ないものだろうか?