東日本大震災から一週間経って

3月11日の東日本大震災からそろそろ一週間が経とうとしています。


日が経つにつれ明らかになった想像もつかない津波の被害、広範囲に及ぶ被災地になかなか救援物資が届かない状況、ガソリン・灯油・軽油などの燃料が不足気味で物流にも影響を及ぼしていること、地震津波でトラブルに見舞われてから予断を許さない状況が続く福島原発、多くの発電所が停止してしまい供給電力が低下したことから関東・東北で実施されている輪番停電とそれに伴う交通機関の混乱。

今回の大震災の状況はまだ全容が把握できておらず、復興にもこれから長い時間がかかりそうです。


北海道(道南)の状況

私の職場は室蘭市にあり、M9.0の本震の時の震度は3。沿岸部に位置していて大津波警報が出ていたため、3〜4時間ほど職場で避難待機がかかったり、国道が一部通行止めになったりしていつもより2時間ほど帰宅が遅れました。

家が高台にあるため、低い地域に住んでいる両親の知人が数名避難してきており、地震当日は小さな避難所となっていましたが、地域的には津波の影響もほとんどありませんでした。



北海道全体でみると太平洋側の沿岸部が津波の影響を受け、港・漁業などに大きなダメージを受けていますが、それ以外は直接的なダメージはほとんどありません。



一番大きな影響はなんといっても物流が止まってしまった事。地理的に被災地の東北を挟んでいることから、陸路・海路の物流は地震当日から数日はほぼ止まっていました。唯一の航空便だけでは到底荷物をさばききれるわけもなく、宅急便などの配送は完全にストップしていました。

ただし、北海道内の物流は生きていること、食料供給地が道内に大量にあることから、食べ物的な物資の不足はほとんど無いように見受けられます。もちろん、本州から入ってくる生鮮食品類は品薄ですけど。


地震から一週間経ち、船便、陸路と次第に復旧しつつあります。これから、じわじわと物流も解決していくでしょう。



本州で報告されている燃料不足は、一部のガソリンスタンドで給油制限があるようですが、全般的に見るとそれほど混乱していません。北海道の燃料基地から東北の被災地に燃料を回す計画も実施されているようで、被災地の燃料不足が早く解決してくれるといいのですが。

まだ冬が完全に終わっていないため、寒さを乗り切るためにも燃料は必要不可欠ですから。


災害時の情報入手


地震当日、かなり繋がりにくかった固定電話、携帯電話、携帯メールに対してインターネット上のサービスであるtwitterfacebookなどは普段通りに稼働しており、特にtwitterではものすごい勢いで地震に関する多くの人々の書き込みが流れていました。

地震当日に送った携帯メールはキャリアによってはかなり遅れてから一気に届いたりと、互いの状況確認に役立たなかった部分がありましたが、最近使い始めたfacebook上での非公開家族グループでは何の不自由も無く書き込みが行え、離れて住んでる家族の消息確認はすぐにできました。


twitterも特に問題なく書き込めていたことから、家族が全員twitterfacebookのようなサービスをモバイルで使える環境を持っていれば、完全にネットから遮断されてしまうような状態でない限りは電話・携帯メールと比べると格段に素早く消息確認ができる、ということが分かりました。



その後、地震津波原発の状況などを知るために、インターネットとテレビを両方活用していました。現在はgoogleのリアルタイム検索でtwitterの書き込みをキーワード検索し、その更新状況をリアルタイムに確認し続けられるため、現在のような多くの人々が共通に話題にしている事柄については幅広く情報収集をすることができます。

ただし、twitterでは多くの情報が集まるものの、憶測・デマなども分け隔てなく大量に流れてくるし、非公式RTで同じ情報が大量に流れて情報確認の障害になったりと問題点もいろいろ明らかになりました。



リアルタイム検索で「地震」「津波」「原発」「物流」「停電」などをキーワードとして流れてくる情報をここ一週間ほどずっと追いかけていますが、人によって知っている情報に随分格差があるんだなということ、時間と場所が分からなくて古いニュースや全然違う場所での情報でかなり混乱しがちなことが分かりました。



例えば、関東・東北で輪番停電が行われているのは、電力供給が需要に追いつかない恐れがあるためですが、これは福島の原発が危機的状況で止まっているためだけではなく、他にも多くの原発・火力発電所が止まっているためです。これらの被害を受けた発電所を復旧させるには長い時間がかかるため、輪番停電はこれからもしばらく(一ヶ月〜数ヶ月単位)続かざるを得ない状況にあります。

また、物流が滞って首都圏で品切れ商品が多発したり、被災地に物が届かなかったりというのは、「被災地の場合は輸送路・手段が寸断されている・輸送人員が足りない」「被災地が想定外に広く・箇所が多い」「関東に対して通常の数倍以上の物資輸送(個人の荷物配送)が集中して輸送センターがパンク」「物資の製造が災害影響で止まっている」「普段は買わない人達の購入・買い占めの影響」などの多くの原因が複合的に絡み合って起こっているトラブルです。



多くの情報を見ていると、これらのトラブルの原因も見えてくるので、断片的な情報に踊らされない様にしましょう。


テレビ・ラジオとネットの違い

また、テレビを流れる情報はどうしてもテレビ的なものとなって、実際に多くの人が必要としている情報が必ずしも流れる訳じゃないということもネットとテレビを両方見ていると強く感じました。


被災地の人にとっては、テレビやラジオには消息・救援要請・避難所・救援物資などの情報が大きく期待されているのが痛いほど伝わってきましたが、消息・救援要請は場所は人数が多すぎてとても有効に伝えきれなく、避難所・救援物資情報もまた同様です。


これらの被災地で必要とされる情報に関しては、多くのネットサービス会社や個人がネット上でさまざまな情報収拾・集約・提供を行っており、これを活用しない手はありません。

今回のような大きな災害時にはネットを利用できる環境をいち早く復旧させ、情報収集に役立てるのが非常に有効なのではないかと。


被害に合わなかった我々ができること

大きな被害に合わなかった我々ができることは、被災地の復興のためにできることを、被災地に迷惑にならない形で実行すること。



しばらくの間、物流は混乱してるでしょうから、救援物資は企業や自治体など大きな単位で送る事ができる組織にまかせる、またはそこの募集に協力する。さまざまな形で参加できる募金を行うのが一番効率的に思います。(ただし、災害に便乗した詐欺にはくれぐれも要注意)


瞬間的に大きな救援の手を差し出すだけじゃなくて、長い支援を行うこと。


被災地を復興させるために、被害に遭っていない地域の力が非常に重要になるので、必要以上に自粛することなくどんどん経済を回すこと。通常の日常を送れる人はいたずらに萎縮せずにいつもの毎日をすごすのが大事です。



また、今回の災害で見えて来たいろいろな問題点、災害に対する備え・電力に対する安全性と依存と災害時のバックアップ体制・災害時に有効な情報入手手段の構築・いたずらにデマを拡散しないために正しい情報を入手・選別するリテラシー、なども解決していく必要があります。