ネットにみる情報へたどり着く方法の変遷


私がネットを利用し始めた頃、そう今から10年ほど前には、まだそれほど多くのサイトは存在していなかった。雑誌などで見るURLをそのままブラウザに打ち込んでサイトを見るなんてのが一番一般的な方法だったように思う。

サイトへの道しるべ

その後、時が経つにつれて増加していくサイトは、ヤフーのようなディレクトリ型の分類(カテゴライズ)によって整理され、自分が知りたい情報のカテゴリからサイトを探すことで知りたい情報へとたどり着くことが出来るようになった。

いまでも多くのポータルサイトのトップにはこのようなディレクトリ型のカテゴリが並んでおり、そこを利用している人も多いと思う。自分のみたい情報について、カテゴリをたどって目的のサイトへたどり着くというスタイルは、非常に簡単に利用できる。

だが、このようなディレクトリ型のカテゴライズは人の手を介して行われていることが多く、日々増加していくサイトの数に追いつけない、複数のカテゴライズにまたがるようなサイトは登録しづらいなどの欠点がある。


ネットで情報にたどり着くための方法としては、検索エンジンを利用して目的のサイトを探すという方法もある。Pagerankというサイト間のリンク情報からそのページの重要度を計算するしくみで高い検索精度を誇るGoogleが有名で、検索エンジンをうまく利用することで、自分の知りたい情報によりダイレクトにアクセスすることが可能になった。


ブログの登場


そして、ブログが登場する。それまでも個人サイトは多く存在していたが、ブログというログ形式でエントリと呼ばれる記事を書き連ねて行くスタイルは、詳しい知識を必要とせずに自分のサイトを作れるということで、より多くの人々がネット上に情報を蓄積することを可能とした。

ブログには、人々の生の声がリアルタイムにどんどん蓄積されているが、従来のディレクトリ型のカテゴライズでは、ブログのトップページを分類するという形が精一杯なところで、とてもエントリ単位までは追いかけることはできない。


検索エンジンだと、より細かい記事単位で目的の情報を含むサイトを見つけ出すことができるが、検索エンジンのデータベースに新しいエントリの情報が登録されるまでのタイムラグがある。(Googleでサイトの規模にもよるが数日程度)


多くのブログには、更新情報を示すRSSと呼ばれるしくみが導入されており、これをまとめて登録して読むRSSリーダーや、RSS情報を集めることでより素早くブログにアップされた情報を検索できるようにするブログ専用の検索エンジン(テクノラティなどが有名)も登場してきた。


ブログ専用の検索エンジンの中には、更新後数分程度でその情報を反映してくれるものもあり、ほぼリアルタイムに現在のブログ上にどんな情報があるかを調べることができるようになった。また、これの派生技術として、いまどのようなキーワードがより多くのブログで触れられているかという「話題のキーワード」を提供しているサービスも多い。


RSSリーダーはアプリケーションタイプのものやウェブ上で閲覧できるウェブサービスタイプのもの(はてなRSSやBlogline)など、多くがリリースされている。

RSSリーダーを使えば、自分のお気に入りのサイト(ブログ)の最新記事をひとまとめに見ることが可能になり、いちいち各サイトを巡回するのに比べると短時間でより多くの記事に触れることができる。


人の手による情報への案内が再び


ウェブ上の情報への道しるべとしては、人の手によるカテゴライズによって作られていたディレクトリ型のスタイルから、検索エンジンを使って機械的に収集した情報から目的のキーワードに適したサイトへと導くというスタイルへと次第に変化してきた。

これは、増えすぎた情報に対処するために、ある意味必然的な流れでもあった。


しかし、ソーシャルブックマークという新たな人の手による情報への案内手段が最近話題を集めている。

これは、それまで個人が自分のブラウザ内で実現していたお気に入り(ブックマーク)の機能を共有することで、人々がどのようなサイトに興味を持っているかという集合知の情報を集めることができるサービスである。

なんだか難しそうな感じだけど、簡単に言ってしまえば、みんなが自分の興味のあるサイト(ブログのエントリ)をぽこぽこブックマークしていくことで、どのサイト(エントリ)が何人にブックマークされたかという情報が集まり、より多くの人がブックマークしてるサイトというのは重要な情報を含むサイトであろう、という見方ができるわけである。


このソーシャルブックマークで面白いのは、各サイトにタグやコメントを付ける機能がついているものがあることだ。

タグはそれぞれのブックマーカーが考えたそのサイトの要約情報であり、これもブックマーク数と同じく多くの人が同じタグを付けていれば、そのタグに関する情報を含んでいると判断することができる。また、さまざまな人がつけた多種多様なタグはタグクラウドとよばれ、そのサイトがどのような情報を含むかを知ることができる。

また、コメント機能は、ウェブ上に存在するどのサイトにも自由にコメントをつけられるということであり、利用する人のモラル、リテラシーによっては問題を引き起こす場合もありうるが、新たなコミュニケーションの場としても有用である。


情報をまとめる人々


ウェブ上におけるさまざまな情報へは、ポータルサイト検索エンジンソーシャルブックマークなど、いろんな手段によってたどり着くことができるが、さまざまな人が調べた情報をまとめておければ、いちいち何度も情報を探す必要がなくなる。

このような情報の集合場所として最近注目されているのが、wikiと呼ばれる多人数で更新できるスタイルのウェブコンテンツ管理システムである。ウィキペディアなどが有名だが、個人で利用できるwikiを提供しているネットサービスも増えてきており、さまざまな情報について、まとめサイトと称したwikiが作成されている。


今後のネット情報の流れ


どんどんと新しいシステムが提案、実装、運営されることで、より便利にと日々進化しているネットだが、今後はどう変化していくのだろうか?


いろいろと考えられるが、一つは、ネットで扱える情報の種類が増えるだろうということ。

今はウェブ上に存在しているサイトが中心となっているが、今後はさまざまなものがウェブ上で取り扱えるようになると思う。例えば、写真、音楽、モノ、人、地図、いろんな対象が、ウェブ上でアクセスできるようになる(というか、すでになりつつある)。


また、さまざまな情報に対して、それを説明するメタデータが付加されることで、よりさまざまな方法でその情報へとアクセスするしくみが提供されるようになっていくと思う。

さきほどのソーシャルブックマークの例で言えば、各ブックマーカーがサイトにつけたタグというメタデータによって、単純なカテゴライズでは分類できないさまざまな方向からのアクセスが可能になる、といった感じに。


このメタデータをどのように情報に付加していくか、これはコンピュータより人の方が優れている部分であり、うまいこと人の持つ能力とコンピュータのプログラムで処理できる能力を掛け合わせることで、素晴らしい体験ができる未来があると考えていて、その実現に対して何かできたらなぁ、と思う。



日々なんとなくおぼろげに思ってることをまとめてみたり。なんかまじめな文章になっちゃった(笑)