地方と都心部の交通網の差


The best is yet to be. - 「地方って、もう終わっちゃったのかな」」を読んで。

東京に出てきてどこに行くのにも普通に電車を乗り継いで行ける場所に住むようになって、地方と首都圏の交通網のあまりの違いを実感しました。

こんなにたくさん路線があっても、いまだに新しい路線が作られ続け、電車は数分間隔で来るのが当たり前なので待つという感覚はあまりなく、それでいて料金は地方よりずっと安い。

もちろんそれは利用者が多いからで、あれだけの本数が運行しているにも関わらず通勤ラッシュや終電間際などの混雑具合はありえないほど。まだまだ交通網が発展する余地が十分ありそう。交通網が発展して便利だから人がそこに集まり、人が集まるから交通網もまた発展する正のスパイラル。



地方の交通網は人口が少ないせいでそもそも需要が少なく、規模が小さければなかなかコストダウンも図れずに値段が高い。地方の人口減による利用者の減少に加え、高い値段も利用を妨げる要因となり、かくして地方の交通網はどんどんと疲弊し、消滅していく。負のスパイラル。



正のスパイラルにあるのって、人口が集中している東京、名古屋、大阪近辺くらいじゃないんですかね?

人口が180万程度もある札幌でも、たった3路線しかない地下鉄はいつまでも赤字が解消される目処は立っていません。

人口の多い都市部では、日常の通勤・通学客の需要が十分にあるから、個人が車を持っても鉄道・バス会社がペイする。しかし人口の少ない地方部にあっては、日常の用まで自家用車で済ませてしまうし、駅ビル等の駅周辺事業が貧弱だから採算が取りづらくなる。まして人口寡少地域では、公共交通のために行政府が財源を負担しようとしても世間の合意が取れまい。

人口数万程度の地方である実家の辺りでは、駅の周辺はものの見事に寂れています。20年ほど前はまだそれなりに栄えていたけど、16年前に実家を出てから、実家に帰省する度に駅の周辺が寂れていくのを目の当たりにしています。

栄えているのは、大きな駐車場を中心としたショッピングモール的なエリア。それらは駅からはある程度離れた場所で、駐車場を中心としていることからほとんどの人は車で訪れます。


地方の人口減少傾向、都心部への人口集中傾向は今後も続くでしょうから、地方の車社会化、都心部の交通網の発展化の傾向もこのままの流れで進みそうです。車を持たない人の地方暮らしは厳しくなりそう。

都心部が交通網が発達してるから地方よりいいか?と言われたら、逆に交通網が麻痺するとどうしようもなくなったり、解消されることのないであろうラッシュ時の混雑具合とか、それはそれで欠点も多いですけどね。