コミックにかけられたシュリンクが奪うもの


シュリンクとか - 漫画は1日3〜4時間
シュリンクって何? - Σ無駄話」を読んで。


書店でコミックにかけられているあの透明フィルムをシュリンクといいますが、それについての話題。



書店としては、立ち読みで本が傷んでしまうのや、立ち読みだけで済ませてしまう人に危惧して、コミックにシュリンクをかけます。買う側は、シュリンクがかかっていることで綺麗な本を購入できるようになる(シュリンクの掛け方がまずくて表紙よれよれなんてのもありますがそれは例外として)けど、立ち読みで中味を読んで見てから買うという手段は失われてしまう。

書店によっては、中味確認用の1話程度収録の小冊子を用意したり、立ち読み用のカバーを外したコミックを1冊だけ用意したりしているところもあって、これは非常にありがたいのだけど、こういう手段ができるのはコストや手間的な理由から大型書店に限られてしまうのが残念。



他のコンテンツ(音楽、映画、アニメなど)でもそうですが、買う側の心境として、中味も見れずにいきなり買わなくてはいけないってのは相当心理的な壁が高いんですよね。いままでに表紙買いして、中味が面白くなくてがっかりしたコミックをどれだけ買ったか分からないですから。

だから、コミックに限った話ではないけど、いろいろと情報収集してから買うようになったし、一番ありがたいのは商品そのものの中味を試し読みや体験版、視聴サンプルなどで確認できること。



ネットが普及して、情報収集の手段が増えたおかげで、いままでなら知ることが無かったであろう多くの作品に触れ合えるようになりました。最近購入しているものは、ほとんどネットで情報収集していますし、ネット上の情報から興味を持って購買に至ったものも大量にあります。


漫画読み・・・つまりここでは大人たちのことですが、どうしてシュリンクありでも買っているか。
多分ではありますが、ネットでの情報収集、雑誌購入、友人からオススメしてもらって買っているんでしょう。
しかし、子供のように購買雑誌が少なく、購入費も少ないような人はどうすればいいんでしょうか?
どうやって面白い漫画に出合えばいいんでしょうか?
周りの友達が漫画読みでもないのに誰が教えてくれるんでしょうか?

今の漫画読みたちは確実に立ち読みから育っていると思います。
つまり漫画読みができあがる環境ができていたわけです。
しかし、今の子供達にはそれがない。

シュリンクという存在が漫画読みの育成を妨げていると言っても過言ではありません。
立ち読みの中で好きな漫画に出会い、購入して大切に保管するという行為ができません。
漫画を読むことの楽しさを一つ奪われ、ネットや携帯小説、テレビゲームへと流れるのは当然でしょう。
こうなると漫画業界自体が育ちません。
むしろこっちの方が問題だと思うのは俺だけでしょうか。

最近でこそ、ほとんど立ち読みする機会がなくなってしまいましたが、小学生の頃から自分と漫画との接点の多くは立ち読みから作られてきてたのを思い出します。もし、立ち読みができないのだったら、今ほど漫画にはまってることは無かったでしょう。

立ち読みする側のマナーの問題(本を汚す、他の客の邪魔をするなどは論外)、万引きの問題などあって、書店側でコミックにシュリンクをかけなければならない事情もよく分かるのですが、漫画読みと漫画の接点が失われてしまうのも非常に寂しい。



最近は、出版社の公式サイトでウェブ上から立ち読みができるところもかなり増えてきました。たまにうまく動かなかったりもしますが、こういう動きはとても嬉しい。