iPhone発売前後を振り返る


テレビにネットにiPhoneという単語をこれほど目にするとは・・・と思ってしまうほどiPhoneづくしだったiPhoneの発売日も終わって、後で発売日はどんな風だったかなーと思い返すために今日の記録。


数日前からの購入組行列


iPhoneの発売日である7月11日の数日前から、ソフトバンクモバイルの基幹店である表参道店に並ぶ人達。Appleの新製品発売の際に行列ができるのはめずらしいことではないが、3日も前から行列ができるのはあまり記憶に無い。

じわじわと人数が増えて行く行列だが、この表参道店の行列が目立って大きかったのと、他のソフトバンクショップや量販店、携帯販売店などではどれくらい入荷するのか不明なことから、表参道店以外ではそれほど大量の行列ができている印象はなかった。


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前日から加熱するテレビ報道


iPhoneの発売はあのアップルが携帯電話をということで、今までの携帯電話とは違う方向性を持つ黒船的な存在として認識されており、そのために新聞やテレビなどでの報道もかなりの数があった。

特にテレビでは前日から購入組行列の取材や報道用に貸し出されたiPhone実機のデモなど、ほとんどの局で何かしらの取り上げられ方をしていたため、ニュースやワイドショーの時間帯にチャンネルをザッピングするとあちこちの局でiPhoneが見られるという光景だった。


テレビ報道の内容は局によってまちまちだったが、日本の他の携帯電話との違い(ワンセグ・お財布ケータイ機能などがない)、本体価格が安いこと、実機を使ってのデモという構成で取り上げる番組が多かった。中には、通信キャリア主体な日本の携帯市場に、ハードメーカー主体なiPhoneが殴り込みをかけてきたという構図をうまく説明している番組もあった。

放送での実機を使ったデモでは、おそらく初めて触るであろうiPhoneに苦戦するレポーターが多かったのが印象的。自分で操作すると結構簡単に操れるiPhoneも、テレビカメラに向けて使おうとすると以外と苦戦するのは、以前にiPod touchの操作動画を自分で撮影してみたとき(Youtubeにアップするため)に実感してて、操作に失敗してパニクってるレポーターも何度か目にした。ホーム画面でボタンを長押ししてしまい、アイコン並び替えモード(アイコンがぷるぷるして入れ替え可能になる、ホームボタンで決定)になっちゃったのや、iPhoneの特徴のひとつである画面の向きを縦横と変えたときに写真がそれに合わせて向きを変えるってのが、本体を持つ角度が悪いせいでうまくいかなかったり(本体を寝かせすぎると縦横を認識しない)、ちらっと映ってしまったiPhoneの電話番号にいきなり非通知で電話がかかってくる、などなど。

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大量にテレビ報道されたおかげで、iPhoneの発売を知った人も多いはずで、発売日はiPhoneが何かをよく知らないけど、話題だからとにかく欲しい!って人なんかも奔走することに。


正確な台数が公表されない販売体勢


iPhoneの発売は、ソフトバンクショップや量販店を中心とした普通の携帯電話販売網で行われているが、各ショップごとにどれくらいの台数が販売されるか?というのは極秘情報で、ほとんど流れてこなかった。販売店への問い合わせへの返答で多かったとされる「販売当日にならないと台数が分からないんですよ」ってのがもし本当だとしたら、多数の問い合わせに苦労したであろう販売店スタッフの苦労がしのばれる。

正確な販売台数はほとんど分からないが、日経新聞によると

7―9月分としてドコモの人気機種に匹敵する40万台分を確保したもようだ。

ということらしい。


また、携帯電話での販売では一般的に行われている予約販売だが、発売直前になってから「予約販売は全て中止する」という指示がソフトバンク側から出たせいでかなりの混乱を招いており、そのまま予約で購入できた人、予約が直前で取り消された人などなど、かなり混乱した発売日の状況であった。

中には販売方法、台数などを巡ってトラブルになる店舗もあった模様。
【iPhone速報】一部店舗でトラブルも,「1台も売らない」でソフトバンク恵比寿は一時騒然:ITpro


また、購入組からの報告が多数上がっていたが、本来はそんな縛りがないはずの「WホワイトプランじゃないとiPhoneは購入できません」というショップがあったり、備品を無理矢理抱き合わせ購入させられたり、という人気商品を売るときの消費者心理にかこつけたショップ側のあくどい販売行為もちらほらあった模様。



一度に大量に契約が殺到したため、ソフトバンクでの販売契約の登録、アップルでのiTunesを使ってのアクティベーションの両方で、混雑によるトラブルで処理が一時停止するのが何度か断続的に起こっている模様。

事前にiTunes7.7へのアップデートがあったが、一部のWindows環境でエラーによって同期がうまくいかないトラブルが報告されている。
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iPhone3GはiPhoneシステム2.0を搭載しているが、iPhoneから携帯電話機能を取り除いたiPod touchでも、このiPhoneシステム2.0を入れればソフトウェア的にはiPhone3Gと同等になるアップデートも予定されており、アップデートをいまかいまかと待ちわびるiPod touchユーザー。流出したのかフリーでアップデートできてしまうファイルが流れてたり、一瞬アップデートへのリンクがアップルのサイトに掲載されたのに取り下げられたりと、こちらも一筋縄では行かない模様。


スタートから数百本の規模で盛り上がるAppStore


発売当初は自社以外のiPhoneアプリ開発を認めていなかったアップルだが、その後のjailbreak(脱獄)による外部アプリの盛り上がりを見て、それをうまく取り込むことに方針転換し、今回のiPhone3Gの発売を機にiTunesStore上のAppStoreで外部アプリの配信が開始された。

たった数ヶ月の盛り上がりであっという間に方針転換し、うまいこと自社製品を盛り上げる方向に結びつけるアップルの変わり身の速さはなかなか他社には真似できない芸当。しかも、iTunesStoreの配信をうまく活用することで、外部アプリ開発者側にとっては、iPhone用にアプリを開発するというのは世界中のiPhoneユーザーに向けてアプリをアピールできるという格好の場をも作り出している。

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日本の携帯電話では基本的に販売時に採用されている機能が全てで、その後のアップデートは主にバグ修正程度だが、iPhoneの場合は今回のiPhoneシステム2.0を導入することで、初代iPhoneのユーザーも機能アップの恩恵を被ることができる。これは、携帯電話というよりかはPCのOS的な方向性であり、更に外部アプリが多数登場することでアップルが提供しきれない機能も補完されていく可能性が高い。

初代iPhoneの一年間での販売数は600万台程度であったようだが、販売国数が大幅に増加したiPhone3Gでは一気に販売台数にも勢いがつくことは間違いなく、あっという間に数千万台レベルの販売台数に到達するというのも十分ありうる。そうなった場合、数千万代規模のアプリ販売マーケットができる訳で、この台数はゲーム機のそれをも一気に追い越してしまうかもしれない。


iPhoneでの動画再生


こうした動きをにらんでか、国内の各種サイトでもiPhone対応を発表、実行するところがかなりの数に及んでいる。私が見かけただけでも数十のサイトがすでにiPhone対応を発表しており、その数は今後もどんどん増えて行きそうな勢い。iPhoneの販売元であるソフトバンクYahoo!のトップページ、各種サービスページをiPhone対応させてきている。

気になるのはYahoo動画のiPhone対応。iPhoneではYoutubeが専用アプリで再生可能となっているが、動画の再生も魅力のひとつであるiPhoneだけに、今後多くの動画サイトが対応してくる可能性が高い。日本だとニコニコ動画の視聴を望むユーザーが非常に多いが、再生に必要なFlashにはiPhoneは対応していない。Flashの開発元のAdobeiPhone用のFlashを開発中とのニュースも流れていて、もしかしたら今後Flashの再生に対応するということもあるかもしれない。



動画再生で心配されるのが3G通信網を使っての通信帯域の問題。一気に大量のユーザーがiPhoneを購入しネットへの接続をし始めるとソフトバンクの携帯通信網はかなり帯域的に厳しい状況になることが予想される。

iPhone 3Gでのインターネット接続において、大量のデータ通信を伴うような特定ウェブサイトへの接続について、通信速度を制限する場合がありますので、予めご了承ください。 ※動画や地図などのアプリケーションを利用した場合に通信速度の制限を行う場合があります(2008年7月11日現在)。

すでに、このようなアナウンスも公式サイトに出ていて、場合に寄っては通信速度の制限が行われる可能性もある。



iPhoneの場合は3G通信網以外にもWi-fiも利用可能なので、自宅のネット環境に無線LANルータや無線LANアクセスポイントを導入してWi-fiによるネット接続を可能にしておくと、自宅におけるiPhone利用では通信速度制限に悩まなくてよくなりそう。


今後の展開


発売日前後のiPhoneを取り巻く状況は上述したような感じ。まだまだ発売初日が終わっただけで、これからもしばらくはiPhoneの話題で盛り上がれそうです。



今後の展開として注目してるのは、

  • iPhone販売がどれくらいスムーズにいくのか(品切れにならず購入可能か?)
  • AppStoreでのアプリ配信の盛り上がり
  • iPhoneユーザーの利用状況にソフトバンクの通信網が耐えきれるか?
  • iPhoneの影に隠れた形のiPod touchの今後
  • ソフトメーカー、各種サービスのiPhone対応展開

辺り。



iPhoneに期待をかけてる一人としては早いことiPhone3Gを入手したいのですが、なんせ田舎に住んでるもので、近所のソフトバンクショップにいったい何時入荷してくれるのか、とiPhoneの話題を追いかけながら待ってるところです。はー、早く入荷しないかな。