新しい風が入り込まないと行き詰まってしまうマニア向けな趣味


小寺信良の現象試考:オーディオ業界に3日で絶望した男が業界を救う話 (1/3) - ITmedia +D LifeStyle」を読んで。


こだわりは大事なんだけど、あんまりにもこだわりすぎてそればっかり見てるとどんどん視野が狭くなってそれしか見えなくなる。そして、気づくと周りとの間にものすごい溝ができてる・・・。

なんてのは、オーディオ業界に限らずあらゆるマニア向けな業界に言えた話なんですが、それじゃダメだ!なんとかしないと!と業界の方向を変えていこうとするのが、この記事に出てくる「3日で絶望した男」。



女の子にモテる、ってのはものすごい分かりやすいひとつの形だけど、そうやって外に向いてる方向性の趣味ってのは、そうあらんとするために常に変化していくので、生き残りやすい。逆に我が道を行く求道的な方向性の趣味ってのは、内側に向いてるので、どんどん独自の世界に入っていってしまい、周りと世界を断絶してしまいがち。

オーディオで言うと、ここ十数年でかつてのレコードのようなアナログ音源の再生から、今ではCDやiPodのようなデジタル音源の再生という変化が起こったが、一部のオーディオマニアはその変化をかつてのアナログ時代の延長線上として求道し続けているので、ちょっと考えればおかしいと分かることが分からずに昔の知識のままに己の道をひた走ってる人達がいたり。


「PCでCDをリッピングして取り込んだデータをiPodに転送するときに、iPodに転送するためにPCとiPodを繋ぐケーブルをいいものに変えると音ががらっと変わる!!」とか。


アナログ音源時代の考え方でいくとそうなるんだろうけど、PCからiPodにデータを転送するってのは文字通りデータを転送する以上の意味は無い。

だいたいデータを転送するだけでデータの中味が変わってしまうのなら、一文字違ってしまうだけで動かなくなってしまうようなプログラムなんて到底転送できないだろう。データの転送だけなら、一般的なケーブルならどれを使おうと同じ様にデータは転送されるのは、ちょっとPCを知ってる人ならごく当たり前の知識。



新しい風が入り込まずに、古い知識だけで求道的にハマりこんでいく趣味ってのは、こういう間違いに気づかず暴走してしまいがちな危険さを持っている。



任天堂がゲーム機「Wii」で、いままでゲームをしてこなかった人達や、かつてゲームをしてたけど離れてしまった人達に向けたアプローチを取って大成功したのは、袋小路に入り込もうとしてるゲームという趣味を、より多くの人が再び入り込めるように分かりやすく作り直したってところが大きい。

オーディオという趣味も、紹介した記事で取り上げられている様な取り組みでどんどん新しい人を取り込んで行く方向に持って行かないと、今在るオーディオ文化が継承されずに廃れてしまうのかもしれない。