「iPad」発表から一夜経って
恒例の日本時間では真夜中になるApple eventを、あちこちの速報系サイトやらこのイベントのために行われているUstreamやらを眺めながら「iPad」の発表を見てました、昨夜。
たまに肩すかしを喰らうことのあるApple eventですが、今回は何らかのタブレットマシンが発表されるだろう、というのはほぼ間違い無さそうだったので、見る方もかなり気合い入れてる人が多く、発表前からあちこちで盛り上がってました。かくいう私も、前の日は早めに寝て仮眠を取ってから、真夜中の発表(日本時間午前3時スタート!いつもより1時間遅いのがまた気を持たせる)を心待ちにしていました。
iPhoneとMacBookの間のiPad
ひさびさのスティーブジョブスによるプレゼンで、iPhoneのようなスマートフォンとMacBookの様なノートPCの間の埋める製品として紹介された今回発表の「iPad」。実は、結構前からこのゾーンに入る製品が欲しいなー、と思ってたりしました。
過去記事一覧から探してみたら、「MacBookとiPod touchの中間の製品が欲しい! - 北の大地から送る物欲日記」二年ちょっと前くらいに書いた記事がありました。まあ、この記事で書いてたのは7インチくらいの液晶のMacOSXが動くデバイス、なので「iPad」とは違うのですが、まあ、そういう方向性の製品が欲しかったと。
「iPad」はiPhoneの流れをくんだ製品で、iPhone OSの拡張版で動いてるようです。iPhons OS自体、MacOSXのカスタム版みたいなものですが、実際にiPhoneを使っていてMacOSXじゃないから不自由してる、という面はほとんど感じない(普通にビューワーとしてiPhoneを使うときの不満点はSafariでFlashが見られない点くらい)ので、タブレットマシンである「iPad」がiPhone OSで動いてても得に問題はないでしょう。
iPad登場の衝撃
「iPad」が発表され、その姿が明らかになった時のそれを見てたネット上のみんなの反応は、正直「・・・ええ!?」って感じでした(笑) iPhoneのホーム画面がそのままびよーんとただ大きくなったようなホーム画面(あのスカスカ感はなんとも間抜けに見える)を見ながら、「発表前に出てたフェイクの方がカッコ良かった!」「これ、いつもプレゼン中にやってる「実はこれは嘘で、こっちが本当のiPadなんだ」の前振りに違いない!」「なんか無駄に液晶枠が広いよ!ありえねえ!!」などなど。
確かに、パッと見の印象はどことなくダサイ感じを受けるiPadですが、iPhoneの流れでシンプルな部分はそのまま、横から見るとかなり薄いですし、何よりプレゼンしてる人が実際にiPadを手にもって操作してるのを見るとかっこいい。
9.7インチと思ってたより大きめな液晶の周りがぐるっと全周に渡ってふちが1.5cmくらいずつあるのは、片手で手のひらにすっぽり収まり気軽に持てるiPhoneと違って、端の部分をある程度しっかりとホールドしなくてはならないためのふちかな? iPhoneでもたまに操作してる親指の根元の部分が液晶にタッチしてしまって誤動作するときがあるので、iPadでは端を持つときにそういうことが起こらないように、と考えてのあのふちの大きさなのでは。
実際にiPadを操作してるところは、AppleのサイトにあるiPadのビデオ(英語ですがiPadがどんなものかは分かります)で、非常に分かりやすく説明されています。
個人的に気になったのは、サイズが大きくなってより便利そうに見える「マップ」、縦横で持ち変えることで2カラム表示にも対応した「メール」、そしてiPhoneでも地味にギャラリー受けのいい「フォト」、写真を手軽に見て楽しむデバイスとしてiPhone, iPod touch以上のモノはそうそうありませんが、それが更に進化した形になってるこの「フォト」機能、写真をまとめて整理しているグループをピンチアウトで中を広げてみれるというなんとも魅力的な見せ方になっています。
動画がよく見えるのは、サイズが大きくなったんだからある意味当たり前。他にもサイズが大きくなったおかげで、ソフトキーボードが非常に使いやすくなるだろうし、Safariでウェブブラウズするのも快適になるはず。画面の解像度が1028x768pixelと何世代か前のモニタ環境だなー、と思ってたら、ちょうど仕事で使ってるPCの解像度がそれでした。ああ、あれくらいのサイズでウェブブラウズできるのなら、無駄に拡大収縮させて見る必要はないでしょう(もちろんiPhone同様に拡大回転縮小などの機能はついていますが)。
発表では、更に電子書籍アプリiBookが紹介され、Amazonのkindleの対抗馬として電子書籍分野での競争が激しくなることが予想されますが、日本だとiPad公式サイトにiBook紹介の部分はまるまんま抜けています。音楽配信のiTunesStoreの時も数年待たされましたし、動画配信はまだ日本ではほとんど見掛けません。今度のiBookStoreもまた同じ道を辿ることになるんでしょうかね・・・。
iPadの通信環境
iPadはwifiのみとwifi+3Gの二種類が3段階のメモリ容量で発売されることになっています。これは、iPod touchとiPhoneの関係にとてもよく似ていますが、iPadでは通話は出来ないでしょうからちょっとだけiPod touchよりなデバイスとなっています。
wifiのみのiPadは3月下旬から発売されるとのことでこちらはワールドワイドに販売、一方の3G付きのモデルは4月にアメリカで発売され、その他の国では6月からの発売になるようです。この3GはmicroSIMカード仕様でデータ通信のみなのですが、日本で発売されるとき、iPhone同様にソフトバンク専売になるのか、それともどこか他のキャリアからも発売されるのかが気になる部分で、他のキャリアからも発売されるとなると面白くなりそうです。
できれば、iPhoneからテザリングでiPad (wifi)に回線を回せるとグッド!なのですが、ソフトバンクはテザリング機能を解除しないだろうから、それは夢で終わりそうですが、他のキャリアのデータ端末経由で通信を行うという使い方は普通に可能なので、そういう方向もアリかもしれません。
iPadの狙うユーザー層
AppleがiPadで狙っているユーザー層ってのは、すぐにiPadのような新製品に飛びつくガジェット好きではなくて、PCが便利なのは分かるんだけどどうにも苦手で使いこなせない、もっと簡単なネット端末があればいいのに・・・という層ではないでしょうか? PCが苦手な両親でも、iPhoneを触らせてみると結構簡単にいじって遊んでたりします。キーボードやマウスという良くわからない入力装置いらずで、画面にタッチするだけでしたいことができる、というのがどれだけお手軽なのかは、見てるとよーく分かります。
更に、こういう層にiPhoneをいじらせると言うことが「もっと大きければいいのに」ってこと。iPadの大きさは、まさにこういう人達の使うデバイスとしてピッタリかもしれません。
こういう層はおそらくガジェット好きな層の数倍〜数十倍の人数がいるので、この層へのアプローチがうまく行けば一気に販売台数を伸ばすのも可能かも。
ここに至るまで、iMac、iPod、iPhoneと次第にシェアを拡大しつつ、ブランド力も大きく育てて来たAppleが満を持して発売するiPad、ジョブスがいう所の新しい市場、スマートフォンとノートPCの間という部分にこのタブレットマシンiPadはどんな形で入り込むのか、とりあえず6種類のiPadのうち、どれを買うことにするか3月下旬まで悩んでみる事にします。