カンブリア宮殿「電子書籍元年x村上龍〜変化に怯えるか?ワクワクするか?」整理メモ


2010年12月9日放送 電子書籍元年 × 村上龍 〜「変化」に怯えるか? ワクワクするか?〜
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/list/list20101209.html

2010年12月9日のカンブリア宮殿電子書籍元年x村上龍〜変化に怯えるか?ワクワクするか?」という電子書籍に関するテレビ番組を見て、電子書籍に関するさまざまな話題が取り上げられていたので、録画したのをもう一度確認しながらメモってまとめてみました。

関連サイトへのリンクも可能な限り入れておきました。


ユーザーの利用スタイル

  • 宮田真木さん
    • 電車内、街中でiPad電子書籍(雑誌)を閲覧。地図と連動。
    • 電子雑誌なら処分する手間もなく、バックナンバーも買える
    • 全部の雑誌が電子書籍されたらいいのに
  • サンスター文具 高畑正幸さん(ヒットメーカー)iPad使い
    • iPadにいろいろな画像を保存:スキャン、写真、電子書籍(自炊)100冊以上。
    • 端末に400キロの紙の束が入っている。

自炊とは?

  • 自炊:書籍を裁断し、デジタルスキャンして電子化すること
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  • 「ブックスキャン」(本をスキャンしてPDF化してくれるサービスを提供する会社)取材
    • 顧客から電子書籍化したい本を送ってもらい電子書籍化する
    • 来年の二月まで自炊化の予約でいっぱいな状況
    • 1冊100円で本を電子化(PDFデータで納品)

日本メーカーの電子書籍端末販売ラッシュ

国内の電子書店サービスの問題点

  • 大日本印刷 国内最大級の電子書店サービスを開始するとアナウンス
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  • 電子書店「honto」 3万点の品揃えでオープン→品揃えが少ない
    • 「10万冊を揃えるのは厳しい」
    • 著作権の問題、あらゆる流通の問題」
    • 「一つの試みとして協議会をつくってルール・環境づくり」
  • 今年設立の関連団体
  • さまざまなルール・環境づくりが起こる電子書籍業界
  • 暁印刷(本を電子化する役割)
    • 「電子化の依頼がきても、著作権の問題が解決されずに作業に入れない」
    • 「いろんな協議会ができて、自分たちの利益のためにやっている」
    • 「「印刷会社」「出版社」「著者」デジタル化と騒ぐ中でこの3者の仲が利害関係で悪くなっている」
    • 「きちんとした物の流れと金の流れができればいい」
    • 「どこが敵なのか? 海外なのか、国内なのか。」
    • 「日本では今まで3回、電子書籍元年があったが全て失敗している
  • 2004年 ソニーリブリエ」 ほとんど売れずに撤退:本が数万点しか集まらなかった→本が買えない端末は売れない
  • 2007年 Amazonkindle」発売 1000万台普及 購入出来る書籍70万点
  • 日米で違う権利の問題
    • アメリカは出版社が全ての権利を一括して契約:「紙書籍化権」「デジタル化権」「映画化権」
    • 日本で紙の書籍を出すという口約束のみ→電子書籍ではまた新たに契約を結ぶ必要がある→本を集めにくい
  • 世界の中で日本だけが電子書籍の議論から取り残されて行く危険性
  • 坂本龍一
    • 「かつて音楽業界で経験した電子化による激変」
    • 「ニューヨークマンハッタンの大きなCDショップは5年くらい前に無くなってしまった」
    • 「10年前〜、ネットによる配信ビジネス(iPod音楽配信ビジネス)」
    • 「音楽CDの売り上げは10年で半減」
    • 「20世紀は大量複製、大量頒布の時代。お金もかかるためそれを実行できる一部の人の権利が強かった」:「出版社」や「レコード会社」
    • 「電子流通になってハードルがなくなった」
  • 丸山茂雄(に・よん・なな・みゅーじっく設立)
    • 丸山「音楽業界と出版業界は同じ方向にすすむ
    • 丸山「まだ食べて行けると思うと既得権を大事にするので、そのまま大きくは動かない」
    • 丸山「影響を与えているのは外部の人(アップルのスティーブジョブスなど)」
    • 村上「電子化は大手の衰退を招くか?」
    • 丸山「著作権で商売になったのは20世紀になってから」
    • 丸山「世界で最も分かりやすいのはディズニーの成功、これを引き続き目指すのであれば終わる」
    • 丸山「ディズニー以前に戻って新しいビジネスモデルを探す必要がある、同じモデルでは無理」
  • 村上龍
    • 作品の電子化のための会社を設立(JMM | 村上龍電子本製作所
    • 吉本ばなな「出版社の人達の尋常ならざる動揺を見て、いままでいろんなことが曖昧だったと気づく。」
    • 「G2010」設立:村上龍の全著作の電子書籍化・販売、他の作家からも請け負う、出版社は通さない
    • 村上「なぜ作家が出版社と組まないで電子書籍を販売するか」
    • 村上「出版社には紙の書籍のプロはいるが、電子書籍を作るプロは少ない」
    • デモ(手書きの題字をタッチすると手書きの原稿も閲覧可能)
    • 村上「電子書籍でないとできないことをやる、興奮出来てワクワクすること」
    • (スタジオインタビュー)
    • 小池「出版社が村上龍を育てたのか?」
    • 村上「出版社からの反対はなかった。自分としては出版社に育ててもらったという感覚はない。紙の場合には印税は10%、電子書籍の場合には40%。」
    • 小池「周りの作家はどうか?」
    • 村上「作家はやりたいという人が多い。作家と読者がダイレクトに繋がる時代が来る。」
  • 講談社 野間副社長(電子書籍出版業界団体の理事)
    • 村上「なぜ日本は業界団体を作る?」
    • 野間「立ち位置として電子書籍を黒船と思っていない、鉄砲伝来と思っている。せっかく来たんだから、使って戦った方が勝てる。」
    • 野間「いっぱい業界団体ができた、全体で話すと何も決まらないからいろいろ出来た。」
    • 村上「出版社は電子書籍のプレーヤーでいられるか?」
    • 野間「意識の変化、紙からの積み上げでやっても何の意味も無い 電子書籍からのアプローチでコンテンツを作って、始めて次の成長がある、様子見は理解できない。」
    • 野間「紙であれ、電子書籍であれ、読者にみてもらう」
  • NTTソフマーレ社長 大橋
    • マンガで世界に勝つ
    • 海外における日本のマンガの立ち位置を確認
    • 大橋「アメコミよりも日本のマンガのスペースの方が大きい」
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    • 携帯マンガサイト「シーモア」国内最多の3万タイトル 1話あたり約20円
    • ファンの集まり
    • 「移動時に目的地にたどり着くまで読み続けてしまうことも」「単行本はかさばって売ってしまう、こっちの方が単価が安い」
    • iPad向けのマンガ配信 世界配信を目指す
    • 漫画家 田中宏さんとの打ち合わせ:海外展開に際し、広島弁をどう翻訳するかという表現手法
    • 大橋「海外で勝負するのは今後のどこもやってくる、ならば早い方がいい」
  • 村上「広大な電位書籍のフロンティアが見えている。」
  • 村上「何もしないで見ている、自分で足をふみいれて確かめないと。変化が起きたときに縮こまるのではなく、そこで打って出て行く人が成功してきた。」

番組を見ての感想


日本における電子書籍化の流れのきっかけとなったiPadを使うユーザーの使い方から始まって、次に自炊を取り上げ、そして電子書籍化に進もうとしている出版・印刷業会の話へという流れがなかなか面白かった。


電子書籍化に進みたいけれども、権利処理や利害関係でなかなか動けない業界側と、自炊という形でどんどん電子書籍化を自ら勧めて行くユーザーサイドという構図が分かりやすく説明されていました。



電子書籍を利用するのはユーザーなので、結局のところユーザーにとって便利で納得できるサービスが提供されない限り、うまく普及する事はないんですよね。一方で、紙媒体から電子書籍化する手法(自炊)もどんどん一般化し、さらに作家や個人が電子書籍を自ら出版するという形も今後どんどん広がる。

電子書籍は、現段階ではとにかくどんどん先に進んだものが開拓していく時期なんだと思います。