位置情報技術の発展により広がる情報活用

あなた以上にあなたのことを多く語るもの。それが、人やモノの居場所を示す位置情報だ。2012年から数年間は、位置情報の本格利用が始まる転換期になりそうだ。早ければ2016年ごろに次世代型の全地球測位システム(GPS)などが稼働を始め、わずか数センチの誤差で様々な人や物体の位置を捕捉できるようになるためだ。

次世代GPS、屋内も死角無し 売り場を丁寧に案内 :日本経済新聞

個人が自分で情報発信する形はtwitterのつぶやきが最小単位である程度行き着いた感があるが、これからはセンサーにより自動収集された情報がより活用されるようになる時代。


中でも既に活用されているのがより発展する段階に入っているのが位置情報技術で、GPSの感度向上による精度の高い位置認識やIMESのような屋内位置検知技術による屋内での位置情報。位置情報の精度が向上したり、屋外屋内こだわらずに位置が確認できるようになることで、より精度が高く汎用性に富んだナビゲーションシステムが実現する。

現在では自分でチェックインして位置情報を入力する形式な位置情報系サービスも、将来は自動でチェックインされたり、普段よくチェックインする店などの近くに来ると、お得情報などが自動配信されて店への来訪を促したりなんてのもあるかも。



位置情報を活用したサービスの代表例であるカーナビの位置情報も、その情報を集めることで更に便利な情報を生み出すこともできます。昨年の震災後、東北地域でどの道が通行可能かを判断するため、24時間以内に車が通行したかどうかの情報を本田やパイオニアのナビ情報を元に可視化した自動車通行実績情報マップが作られました。


http://www.google.co.jp/intl/ja/crisisresponse/japanquake2011_traffic.html


こういうサービスは今後ますます発展していくものと思われ、例えば、冬期間に路面が凍結するような地域で凍結路面判断センサーを搭載した車両が位置情報+路面凍結情報を発信し、それを集約することで、カーナビや路面凍結による危険エリアの標識などで路面凍結情報を走行している他の運転者に伝えることができるようになります。



位置情報に何らかの情報が付加されることで、その有用性は非常に高まりますが、一方で位置情報と個人情報が紐づいたものがあまりにオープンに誰にでもアクセス出来る様になってしまうと、プライバシーの問題が発生します。その辺、個人がどこにいるかという位置情報は本人が望まない場合は発信しないなどの設定が重要となるのでしょうが、自動発信による便利さとプライバシーの漏洩の線引きはどこになるのかは、これからの問題となっていきそうです。



位置情報がさまざまな情報と結びつき、それが集約されて活用されていくというのは、考えてみれば我々のこの現実の世界がネットの向こう側の仮想空間上に投影され、写像が作られて行くということでもあり、ますます現実とネットの融合が進みそうです。