本とwebの未来は電子書籍がつないでいくのかもしれない

Webどっぷりの人が本を読むと感動できると思う:Geekなぺーじ」を読んで。


webと本ってのは、ものすごい大雑把なくくりで見ると結構似てる。何が似てるって、文章や画像で構成されてるって辺りが。


紙の上に印刷されて作られている本、そしてネット空間上にアップされた情報をPCやスマホタブレットのようなデバイスで見るweb。何が違うか、書きだしてみる。


  • 紙に印刷されている
  • 基本的に有料
  • 大量の本がある場所は書店、図書館など
  • 引用、参考文献などで他の本の情報と繋がっている場合があるが物理的に繋がってはいない
  • どこにでも持ち運んで読める
  • 限られた人しか執筆することが出来ない

web

  • 情報はサーバー上に保存されている
  • 基本的に無料
  • 世界中のwebサイトは繋がっており、検索サイト、ポータルサイトがハブとなっている
  • ネット上のwebサイトは引用、リンクで繋がっていて、すぐに移動できる
  • PCや携帯、スマホタブレットなどのデバイスでアクセスして読む
  • ネットに繋がらないと読めない
  • 誰でも自由に情報を公開することができる

本とwebにある情報の傾向の違い


長い歴史を持つ本に対して、webの方はまだ20年ほどの歴史しかない。昔からの情報の多くは本の形で蓄積されているが、webはたった20年ほどの間に信じられない速度でその情報量を増やしてきた。

これは、本が「限られた一部の人が書くもの」だったのに対して、webは「より多くの人が書けるもの」だったからだろう。

「これは良い本だ」と言われるような本は、それなりに時間をかけて文章を推敲したものが多いというか、私が思う「良い本」はかなり労力をかけていると感じるものが多いです。

Webどっぷりの人が本を読むと感動できると思う:Geekなぺーじ

Web上で好まれる記事というのは、短く、刹那的でかつ何らかの方向性に心を揺さぶるようなものです。 生き残るのに最適な手法が生き残り、そうでないものが消えて行くのが世の中だと思うと、現時点の日本におけるWeb界隈で盛況な場所が何故盛況なのかがよくわかります。

Webどっぷりの人が本を読むと感動できると思う:Geekなぺーじ

そして、本は基本有料で購入して読むもの、webは基本無料で自由に読めるもの、と考えると、まとまって価値の高い情報が本に多く、表層的、刹那的で短く簡単に次々と読める情報がwebに多く溢れているという傾向にあることは想像に難くない。


本とwebの向かう先

Web上に掲載されるコンテンツの多くが表層的な雰囲気を感じる要因の一つとして、現在のWebはオーディションの場のような役割もあり、Web上で名前を売った人が本を書くという流れが定着しつつあるので、ネット上に無償で掲載される文章の多くが「かけだし」の人によるものだったりするという側面もあるのだろうとは思います。

Webどっぷりの人が本を読むと感動できると思う:Geekなぺーじ

場所や形こそ違えど、文章や画像で構成されるまとまったコンテンツという意味では本とwebにそう大きな違いはない。誰でも自由に書けるwebで行われたオーデションで名前を売った選びぬかれた人が、よりまとまったコンテンツたる本を書く。



webは無料で、本は有料という基本スタイルがこのままならば、webからデビューした人が本を書いて成り上がっていくという流れが今後も続くのではないかと思うのだが、本とwebの中間地点的な場所に立つ電子書籍のようなものが登場してきて、ちょっと事情が変わっていくんじゃないかと思うことがある。



本は有料なため、ある程度の分量が要求されてきた。しかし、電子書籍が登場し価格を自由に付けられる土壌ができ、より安価な価格が付けられるようになると、本の場合より分量にこだわらない電子書籍も登場してくる。

本は紙という媒体から解き放たれ、より自由な形へと広がっていく。また、在庫を持たずして大量に作成することも可能になる電子書籍の作り手として、かつて本を執筆していた人達だけでなく、webで情報を公開している人達に白羽の矢が立つのは間違いない。



本とwebの境界線上に電子書籍が登場して、本とwebの存在を混ぜていく、そんな気がしている。