総務省発表の「情報フロンティア研究会」報告書を巡るやりとり

でどころはここら辺りからだったでしょうか。

総務省は27日、自殺サイトなど「有害情報の温床」ともいわれるインターネットを健全に利用するために、ネットが持つ匿名性を排除し、実名でのネット利用を促す取り組みに着手する方針を固めた。

これは総務省発表の「情報フロンティア研究会」報告書の公表を受けてのものだったんですが、上記の共同通信の記事の「ネットが持つ匿名性を排除」という部分が一人歩きを始め、それを見たネットワーカー達が反発しだします。

上記の共同通信記事に対するはてなブックマーク (コメント欄参考)


しかし、この反応を見た総務省は報告書で意図した考えが誤解されているということで、その対応に苦慮しているという記事が昨日付けで出ていました。

総務省がネットの匿名性を排除しようとしている」――ある報道を発端に批判が広がった。総務省は、ネットの実名性を高める必要はあるとしながらも、匿名性を排除するつもりは全くない、と弁明する。

この記事中にもありますが、最初の共同通信の報道に反発したネットワーカーの中には大元の総務省の発表資料を見に行った人とそうでない人が居て、反発、反論するならきちんと元資料を見てからにしようという指摘が。

総務省(報道資料)「情報フロンティア研究会」報告書の公表

この資料、かなーり長いですがインターネットの今後に興味がある人は必読かと。文章の方は大変でも、情報フロンティア研究会報告書骨子の方なら発表資料形式なのでさくっと読めるかも。


大元の資料を読むと、冒頭の引用のような「ネットが持つ匿名性を排除」と言う主張ではなく、「サイバースペース上で実名又は特定の仮名で他人と安全に交流することを自然の術として身につけるための教育が必要である。」というのが今回の「情報フロンティア研究会」の報告の趣旨であることが分かります。

今回の一連の騒動は、報道の際にミスリードがあった部分で一気に火がついたけど、初期消火が良かったのですぐに鎮火したって感じでしょうか。



この一連の騒動を見て感じるのは、たった4〜5日ほどの間である記事への反応で盛り上がった議論が大元も巻き込んでお互いの考えを確認するに至るという反応の早さと、ネタ元を確認せずに反応だけ見て盛り上がることの危険さでしょうか。

ネット上のいろんなサービスの進歩によって、ネットで話題になっていることをキャッチするのが非常に簡単にできるようになって、いろいろとそういう議論を見たりしていますが、まじめに議論をやりとりしている人に混じってただ盛り上げたいだけの人、ひたすら絡む人なんてのも存在してるのがネットの特徴。

そういう人たちからいかに自分の身を守るか、というのが「サイバースペース上で実名又は特定の仮名で他人と安全に交流することを自然の術として身につけるための教育が必要である。」というところに繋がるんではないでしょうか。



現状、攻撃する側と防御する側では攻撃する側の方に有利な状況になっていますからね、ネット上での世界は。