ヘビーユーザーでも面白さに気づくのに数ヶ月かかることがある


新しいwebサービスに飛びつかない人たちもいる - こころの風景」を読んで。

普通のネットユーザーは“はてなユーザー”のような『普通の人よりちょっと進んだネットの使い方』をしている人たちとは違い、貪欲に情報収集をしているわけではありません。仮に関心を持った新しいwebサービスについて検索しても、『普通の人よりちょっと進んだネットの使い方』をしている人たちの記事は往々にしてネットの専門用語や仲間内だけに通じる言葉を多用していて、ネット初心者はもちろん“普通のネットユーザー”でも理解できない場合があります。

ネットの話題について書くときは、なるべい簡単な言い回しで専門用語みたいに分かる人しか分からない言葉を使わないようにしたい、とは常々思っていますが、どこまでそうできているかは自分にはあまり分からなかったり。

やっぱり難しいのは、「普通の人」はネットで何か素晴らしい体験ができるようになる、なんてことを追求しようとは思ってないって所かな? 多くの人が使い始めて、いわゆるブームという状態になって初めて「じゃあ、私もやってみようかな?」と動きだすのが普通の人なんですよね。


ネットのいろんなWebサービスの面白さ、相手が普通の人でも、1:1でプレゼンさせてくれるのならばっちり教えられる自信はあるのですが、自分のブログに書いたことが普通の人に広まるほどの影響力を持つか?と言ったら、それはなさそうです。

なので、私のブログのスタンスは、なるべく分かりやすく書くけれど、対象は「自力でネットの面白さを追求するようなネットユーザー」に向けて書いています。

例えばTwitterを含めたミニブログは、今年の春以降から一般的なユーザーの利用者が増えつつあるようです。先ず先進的なヘビーユーザー、『普通の人よりちょっと進んだネットの使い方』をしている人たちに広がり、そして新しいwebサービスを利用することに躊躇しない若い世代が利用していきます。

Twitterは最近、また最初の頃のように盛り上がってきているのを感じます。

私もいくつかTwitterに関する記事を書いていますが、簡単にまとめちゃうとTwitterには「コミュニケーションの楽しさ」と「見知らぬ誰かと触れ合う楽しみ」という違う2段階の面白さがあるってこと。


「コミュニケーションの楽しみ」ってのは、すでに知っている間柄などとやりとりすることでお互いのことをより深く知るような、いわばmixi的な身近な人との密度の高いコミュニケーションという楽しみ方。

もう一つの「見知らぬ誰かと触れ合う楽しみ」ってのは、とにかくFollow(昔で言うところのadd)しまくって自分がよく知らない人も何百人とFollowしたときに見えてくる、街中にいるときの喧騒の中からふと面白い・興味深い会話が聞こえてきたり、急にみんながざわざわし始めてそっちを見たら面白いパフォーマンスをしてる人がいた、というような自分のアンテナを広げたことで、今まで気づけなかった面白いことに気が付くことができた、という楽しみ方です。


ネットのヘビーユーザーですら、二番目の楽しみ方に気づいている人は少なかったのが、最近ようやく認知され始めてきたようで、どこかで大きく取り上げられたということが無いにも関わらず、日に日にFollowしてくる人が増えてきていて、それに釣られるように新規で参入してくる人も増えているといった状態です。



先頭を走っているようなヘビーユーザーを引っ張ることで、それに釣られてヘビーユーザーの周りのライトユーザーも次第に付いてくる、そんな裾野の広げた方もありなんだなぁと、最近感じてたりします。

しかし新しいwebサービスの利用に保守的な中高年ユーザーにまで広まってきてはいないようです。こういう人たちに読んでもらい、理解してもらい、食いついてもらうにはどうしたらよいのでしょう。
なかなか『面白かった体験を語ると食いついてくる人たちがいる』という単純明快なことではないので、いろいろなアプローチをして苦労しているわけです。

やっぱり面白いと感じる人をじわじわ増やして、とにかく大勢が楽しんでいるという状況まで持っていくってのが一番なんですかねえ?


前に

「こんな素晴らしいことができるからやってみては?」って説明より、「こんな素晴らしいことがあった。すごい面白かった、ワクワクした。」って体験談の方がずっと多くの人が興味を持ってくれます。

と書きましたが、これは私が対象としている「自力でネットの面白さを追求するようなネットユーザー」での話で、世の中の多くの人々に興味を持たせるには、「こんな素晴らしいことがあった。すごい面白かった、ワクワクした」って説明より、「こんなに多くの人が使っていますよ、これからはこれが面白いのです」という状況まで持っていく方がそういう層には説得力がありそうです。




あと、ついでにWeb2.0の話を。


ネットで双方向にやりとりするような使い方をすることを総称するような言葉としてWeb2.0ってのがありますが、ネットで双方向のやりとりの素晴らしさをすでに体感しているような人たちほど、わざわざWeb2.0とは言わない気がします。

そういう人たちにとって、それはごく普通の当たり前のことで、わざわざWeb2.0って言葉をつけるほどの体験だとは思っていないくらいに自然なことだから。


そして、Web2.0って言葉を使うことによって、ネット上の双方向のやりとりの素晴らしさに気づいた人が、ああWeb2.0ってこういうことなのかと理解するためにWeb2.0って言葉を使うってのがあって、そこまではいいのだけれども、実際にWeb2.0と言われているようなネット上での双方向なやりとりを体験したり実感している訳でもないのに、Web2.0っていう言葉の魅力だけに惹きつけられてよってくる人もいたりします。こうなると途端にWeb2.0ってのがうさんくさいキーワードにみえてきてしまう。

全然ネットでの双方向みたいな部分がないにも関わらず「Web2.0」ってのを売りにしてるサービスとか企業とか。

Web2.0も単なるバズワードになってしまったら、非常につまらないものになってしまうでしょう。



だから、ネットの面白さを伝えるのにはWeb2.0なんて言葉を使うよりも、実際に面白いWebサービスを使ってるところを見せるなりして、体験してもらうのが一番なんだと思います。