携帯とPCのネット利用は融合できるだろうか?


自己表現のプラットフォームは移り変わる:佐々木俊尚 ジャーナリストの視点 - CNET Japan」を読んで。

ブログなんて、しょせんはひとつの表現コンテナー(メディア)に過ぎない。Web2.0の時代において最も大切なのはコンテナーではなく、コンテンツそのものだ。オピニオンや感情を外部に表出したいと思い、それを実行に移すというその行為こそに意味がある。

今ではブログをメインの情報発信場所として利用しているが、自分のネットでの情報発信について元々を思い起こしてみれば、パソコン通信から始まり、IRCチャット、ホームページ、掲示板、ブログ、そして最近ではTwitterのようなミニブログだったりUstreamのような動画配信だったりと、新しい表現コンテナーが出るたびにそれを試しつつ、自分の情報発信場所として利用してきている。

それぞれの場所ごとに特性が違うので、それぞれの場所にあった発信内容になる。


ブログという方法を使った情報発信自体はまだまだいろんな可能性があって、これからも新しいブロガーが参入してきたり、新しい手段で情報発信するブロガーが現れると思うが、ブログを情報発信場所として考えるとそろそろユーザー数が飽和しつつあるのではないか、というのは薄々感じている部分だったりする。

若年齢層における携帯ネットの高い普及率や、SNSユーザーの増加、twitterのような緩いコミュニケーションの増加を見ていると、ブログほど重くなく、気軽に情報発信でき、身近な繋がりを実感できるような場所を求めている人が多く、そういう方向へとユーザーが流れているんじゃないだろうか。


ブログの使い方は人それぞれでいろんな使い方があるが、ある程度以上の読者がつくようなブログの使い方、単なる日記程度ではなく、有用な情報発信だったり、読ませる文章だったりを提供する人の割合ってのは、いくらネットの普及で情報発信が簡単になってきたとはいえ、そう簡単に増えない。実際、自分の知人の中でホームページやブログで情報発信している人、ってのはかなり少なくないだろうか? 感覚的には、数十人に一人くらいだと感じている。

ある程度PCを使いこなせる30代以下な私の周りでそうなんだから、全年齢層で考えたら100人に一人、日本人が1億2千万人だとしたら120万人くらい、と考えると、実際のブログ利用者の数と結構あっている気がする。(実際はブログ利用者が800万人以上と報告されていたように思うが、開設したもののそのまま放置なんて人も大量にいる)

ブログアクティブユーザー数ランキング(2007年9月版)」における毎月のアクティブブログユーザー数もだいたい200万人前後で推移している。



今は携帯でのネット利用とPCでのネット利用というのは大きな断絶があるが、今後これがどう変化していくかは興味深いところ。このまま別な場所として進んでいくのか、どこかで融合するのか。

携帯は携帯端末に適した見せ方があるとは思うが(狭い画面での情報)、一方でiPod touch上のsafariを使っていると、PCでのネットをそのまま使うことも十分可能なんじゃないかとも思える。

最近GoogleOpenSocialのというSNSのプラットフォームを発表して話題になったけれども、これはSNSのオープン化にとって大きなターニングポイントとなる可能性がある。世の中のすべてのデータを可視化し、検索可能にしていくのがGoogleのミッションだが、SNSをオープン化し、人間関係情報やコンテンツを異なるSNS間で共有できるOpenSocialの仕組みは、このミッションを補強するものとなる。それは同時に、オープンな言論空間をSNS世界の中に作り出す可能性を生み出す。

 そう考えると、ブログというプラットフォームが徐々に衰退し、SNSに移っていく可能性は十分に考えられる。特に現在のブログのプラットフォームは、コメント欄のノイズを排除しにくい構造になっており、この問題がブログからSNSへの移行を促すことになるかもしれない。しかしこの方向への進化は、まだこれからだ。

ブログとSNSの両方を使っていると、どうしてもオープンなブログの方が使い心地がよくて、そっちの利用が多くなってしまった。人によってはクローズドなSNSの方が居心地がよいと感じる人も多いだろうし、両方をうまく使い分けている人もいるだろう。

オープンなブログは、大量のスパムコメント、スパムトラックバックだったり、内容によっては多くの批判を浴びてしまったりなんてことがあって、ある程度の強さを持っている人でないと続けにくい状況になってきてしまってたりする。

一方のSNSはスパムは少ないし、批判も構造上ブログよりは少ないが、過度の馴れ合い文化に疲れてしまう人がいたり、私のように閉じられてる世界であまり情報発信の面白みを感じないというのがあるが、オープン化されることでそういう状況が変化することも十分考えられる。


個々のユーザーアカウントで各種サービスが連携されているはてななどは、はてな村と揶揄されるような状況ってのがオープンSNSに近い雰囲気を持っているのではないだろうか。良くも悪くも独特な雰囲気はある。



携帯でネットをする感覚(知人と他愛もない内容のやりとりをマメに行う)ってのと、今年になって流行っているTwitterの感覚(知人+周りの人々と他愛もない内容のやりとりをマメに行う)がかなり似通っていて、Twitterの方はモバイルサイトやモバトゥイッターのようなサービスで携帯からも利用できることを見ていると、携帯でのネット利用もPCでのネット利用も、携帯側が進化すれば、いずれは同化してしまった方がいいのではないか、と思うが、そうなったらそうなったで携帯を利用してきた層とPCを利用してきた層との文化的な違いによる激しい衝突が起こりそうな気もしたり。異なる文化圏が交わると大きな衝突が生まれやすい。



できれば、ネット上は、文化の断絶がなく年齢に関わらず交流できる場になってほしい。