テレビで見られるコンテンツが増える時代のテレビ放送の行方


テレビでネット動画を見られる新商品が相次いで公開、米TiVoと米Sling」を読んで。

アメリカでは、テレビでネット動画を見られる新商品が相次いで公開されているようです。

ネット動画環境に関してはアメリカに大きな遅れをとっている日本でも、松下がYoutubeを閲覧できるテレビを開発したり(FujiSankei Business i. 総合/YouTubeが“YouTV”に!?松下が今春、米で発売へ)、アクトビラというテレビでネットでウェブページや動画を閲覧できるサービスが展開されて、多くのテレビ製造メーカーがそれを採用する動きがあったりします。

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http://actvila.jp/


昔はテレビといえばテレビ放送を見るためのものでしたが、ビデオが生まれ、ゲーム機が登場し、DVDが普及し、そしてついにはネットもテレビで見られる時代がやってきました。もうテレビはテレビ放送を見るための装置ではなくて、さまざまなコンテンツを楽しむためのモニタとしての面の方が大きくなってしまう時代になってきています。


テレビという商品の進化の方向は、映像の綺麗さというのが一番わかりやすいですが、さまざまなコンテンツが閲覧できるようになると、ユーザーがどのコンテンツをテレビで楽しむかというときには、利便性という面が大きく関わってきます。

かつてデジタル家電の御三家として、大型ハイビジョンテレビ、デジタルカメラ、DVD/HDDレコーダーが上げられましたが、この中でDVD/HDDレコーダーだけが成長に急ブレーキが掛かったのは、その進化の段階でアナログ放送→デジタル放送という変化にぶつかり、アナログ放送でできたことがデジタル放送では不可能になるという利便性の大幅な低下があったためでした。


テレビで見られるコンテンツに次第にネットサービスが入ってくると、ますますテレビ放送離れが進むかもしれません。

正月に実家に帰省した折に、久々にテレビ放送を見る機会がありましたが、面白い番組もある反面、テレビ放送のくだらない部分も多く目につきました。やたらと同じ内容をCM前後で繰り返すいらつく番組構成や、さんざん煽っておいて最後まで見せようと引っ張りつつたいしたことのない落ちやひどいときには引っ張った内容がないまま終了という視聴者をなめたアナウンス、やたらと大量の芸能人を集めたものの企画内容がくだらなくて見るに耐えない番組など。



テレビ局は優秀なコンテンツという資産を大量に持っているのだから、それをうまく活用する方法を考えて行くべきなのでは。

ネット上の動画共有サイトで多くのテレビ番組がアップされるというのは、それだけ多くのユーザーが見たがっているからという裏返しでもあります。権利を主張して違法アップロードを取り締まるのと同時に、どこかで多くアップされるようなコンテンツをもっと多くの方法で公開するアプローチも重要。


ネットでブームになっていることをテレビに取り込むという動きは予想以上のスピードで進んでいるのですから、公開場所としてのネットの可能性ももっと検討できるはず。動画共有サイトにアップされた動画を削除するというネガティブなコントロールではなく、自らどんどん動画共有サイトに映像をアップしていくというポジティブコントロールをうまく使いこなせば、コンテンツをより有効活用できる道が見つかるかもしれません。