最近のmixiを眺めて思う


mixiの特徴は匿名でも非公開でもなくて、その制御性 - novtan別館
mixiの最大の特徴 - ここにいるだれか」を読んで。


mixiは招待制SNSだけど、アカウントが1200万を超えるに至った今では外のインターネットの世界を小さくコピーしたような空間になっている。これだけユーザーが増えては「招待制だからおかしな人はいないよ」なんて話はとっくの昔に夢物語になってしまっているし。


SNSの特徴であるアクセスの制御権(公開先をコントロールできる)は、mixi以前にもネットを利用している人はある程度うまく使いこなしているが、そうではなくmixiがネットスタートだったような人達にはあまり意識されていないように思える。「全体に公開」にしていれば、全てのmixiユーザーに丸見えなのにも関わらず、見られる可能性があるという意識の欠落。

携帯電話でのネットアクセスでは、情報量が限られているだけに自分以外の存在を認識しづらいという問題点があるが、mixiという空間もそれに近い部分があるんではないだろうか。検索したり、人のページをたどって行けば「全体に公開」している人の日記は自由に見ることができるが、自分のホーム画面からはマイミクの日記しか見えない。自分のホーム画面しか見ないようなユーザーにとっては、mixiとは知り合いの日記しか見ることのできない空間なのだ、という認識があっても不思議ではない。


mixiの最大の特徴は、PCユーザと携帯ユーザの交流が成功している場所だということ。

日記に関してはPCユーザーと携帯ユーザーの交流が成功していると思うけど、それは基本的に知人同士が日記を見合ってコメントし合うという、知人関係という共通認識があるから。


これが、参加者同士の関係がバラバラで共通認識がないコミュニティになると、PCユーザーと携帯ユーザーの衝突がちらほらと見受けられる様になる。互いの文化の違いによる衝突。メンバーの入れ替わりが激しさ、同じ様なコミュニティの乱立、ノイズが多めでまとまりにかける発言、場所は違うが2chと非常に良く似ている。かたやSNS、かたや匿名掲示板だけれども、個人と認定しうるかどうかに関わらず同じ様な状態になるのは興味深い。

mixi内ではアカウントで一人一人が認識されるが、1200万以上もユーザーがいればそのほとんどは自分にとって見ず知らずな匿名な誰かってのと変わらない状態、この大勢の匿名に見える人達に囲まれている感覚が、何か問題発言をしても自分は大丈夫、特定されることなんてないさ、という意識を持たせるのかもしれない。


mixiの規約改正に感じる違和感

で、やっぱり最大のポイントは公開の範囲をコントロールできる、というところに尽きるのでしょう。だからこそ、今回の規約変更にみんなが危惧を覚えたわけです。著作権という問題はその延長線上にあって、いつでもコントロール可能なものであったはずなのに、コントロールが効かない所に行ってしまうかもしれないというところにおける不安。後付で隠せるはずが隠せないとかとそういう。

つまり、コントロール可能性というのを全面に押し出しているSNSであるmixiが、その可能性を一部運営に委ねることになる、というのはお話が違うんじゃないか、ということなんじゃないかな

後出しでコントロールを奪われてしまうかもしれない可能性、どう見てもとってつけたような事後説明、今回のmixiの規約改正に危機感を抱いているのは、普段から著作権への意識が高いネットユーザー達で、twitterブログ界隈では頻繁にこの話題を見かけたけれども、そうではないマイミクの間ではほとんど話題に上っていなかった。

アクセスをコントロールする意味に気づいている人でないと、今回の規約改正が持つ危うさには気づけないだろうから、まあそれは当然の反応。



ただ、同じ様な規約改正が、そういう意識の少ない携帯ユーザーだけで構築されているようなWebサービスで行われたらどうだろう。今回のような反応が起こっただろうか。うやむやのうちに通ってしまい、後から問題になる可能性が高い様に思える。


mixiの成長が止まった理由

自分や知人(マイミク)の日記を見ることができ、好きなことに関してはコミュニティという場があり、ネットを見る要因のひとつでもあるニュースもmixi内で見ることができる。普通の人がネットを見るってときには、mixiくらいの要素が用意されていればそれで十分だって人がかなり多いように思う。

もちろん、mixiの外に広がるネットの世界にはmixi内部よりずっと多くの情報が存在しているし、リアルと紐づけられない立場を堪能することもできる。自由度が高い分、うまくやっていくためにはそれなりな知識が必要だが、自ら情報を求める人にはmixiの外のネット世界の方がきっと過ごしやすいに違いない。



mixiのアクティブ率が次第に低下してきているというのは、mixi疲れと言われる現象以外にも、mixiに飽きたってのも大きいんじゃないだろうか。ネット上のさまざまなコミュニティはだいたい数年程度で一つの終息を迎えるのが経験則的に語られているが、mixiをコミュニティとして捉えるとちょうど数年に当る時期に突入しており、何年も参加してる人はそろそろ飽きがきてもおかしくない時期ではある。

他にも、mixiでは飽き足らず外のネット世界、たとえばブログに飛び出して行った人達もいるかもしれない。



私にとってのmixiは、マイミクである知人と連絡をとったり近況をみたりするツールで、自ら日記を書いたりコミュニティを参加したりすることはほとんどしない。日記は外(ここ)でブログを書いていてそっちの方が楽しいし(どうせ書くものは知人だけじゃなくて多くの人に見てもらいたい)、どうせまとまりにかけるコミュニティならより情報の集まりやすい2chの方を参照することが多い。

これだけ大きくなったmixiがそう簡単に無くなることはないと思うが、明らかに成長期から停滞期に突入した感はあって、何か大きな動きが無い限り緩やかに衰退期へと向かって行きそうな感じはする。