ネット上の悪意と付き合っていく方法

かつては一部のマニアしか手を出さなかったようなホームページの時代から、ブログ、SNStwitterとさまざまな情報発信手段が登場してきた今、ネットを使って何か発言してるような人というのはもはや珍しい存在では無くなった。多くの人々がネットに参加するようになり、ネット上の悪意に晒されてしまう人も多くなり、それが原因でネットから離れてしまう人々もでてきた。


ネットと現実とでは人の悪意の見え方が違う


ネット上の悪意は「ログが残る」「拡散しやすい」「尻馬に乗りやすい」という傾向がある。

  • ログが残る

現実で悪口を言ってもその場限りだし、本人が気づかない場所で噂されていてもなかなか耳には入ってこないものだが、ネットでは発言はログとして残る。オープンな場に残されたログは誰にでも見える上、削除しない限りそこに残り続けるものなので、なんらかの経路を経て本人の目に入ってしまうこともある。オープンな場に書いた発言は誰にでも読める、これはネットにおける基本原則だが、それに気づいていない初心者は多い。

  • 拡散しやすい

ネットでの発言はログが残ることもあり拡散しやすい。最近ではtwitterという小さな発言単位を簡単に発信できるツールが普及して、拡散しやすさは格段に上がった。誰も読んでいないと思ったものが、大勢の人に見られていたという、本人の自覚がないままに拡散されている場合も。犯罪行為を自慢していたり、極端な主張をしていたりと、人の注目を集める内容を公開した場合、たった一晩で数万アクセス以上を記録することもめずらしいことではない。

  • 尻馬に乗りやすい

ネットでは匿名と言う隠れ蓑だったり、大勢の発言の中の一人に紛れてしまえば相手に気付かれにくいという心理的効果から、直接面と向かっては言えないことを平気で言ってしまう事例が後を絶たない。また、相手は有名だけど自分は無名、こんな自分の発言は届くわけが無い、向こうが見るわけがないという思い込みもある。テレビを見ながら出演者にやじを飛ばす感覚で相手に直接悪意をぶつける人々。


ネット上の悪意と付き合う方法


このようにネットでは悪意が可視化されやすく、広がりやすいという特徴を持つ。現実ならば、影で悪口を言ったとしても本人に伝わらなかったのがネットだと簡単に伝わってしまう。酷い場合だと、直接相手に届く形で悪口を言っておいて「聞こえるとは思わなかった」「見るとは思わなかった」と言い放つ人すらいる。


こうして現実とは違うネットの特性によって、現実では見えなかった部分が可視化されることで、人々は今までは気付かなかった悪意に直接晒される。ネットは情報を拡散する可能性や入手する機会を飛躍的に向上してくれるというメリットを持つ反面、現実では見えなかった自分への悪意が可視化されてしまうというデメリットも併せ持つ。



これに対抗しうる特効薬のような直接的な解決法はおそらく無い。そして、ネットの持つメリット、情報発信の範囲を広げたり、自由に自分の考えを主張するといった行為を行えば行うほどに、自分への悪意の可視化も広がっていく。あえて悪意と言っているが、この自分への悪意というのは、言い換えてみれば他人の主張でもある。自分の発言が多くの場所に広がったことに対する反応として、中には悪意が返ってくる事もある、ということなのだ。



特効薬は無いが、この悪意に対抗する手段が全くない訳でもない。昔からネットを利用してる先人達や、ネット普及以前から大きな影響力を持っていた芸能人などは以下の様な方法をとっている。

  • 自分自身が打たれ強くなる

ネットでは悪意が可視化される、という書き方をしていることからも分かると思うが、現実の世界でも悪意は存在している。単にそれが直接自分に見えていないから気になっていないだけ。悪意、というかそれは他人の主張なのだ、と割り切ってしまえば、ああ世の中にはそう考える人もいるのだな、と割り切ることもできる。

あまりに酷い物言いをする人を見たら、ああいう言い方しか出来ない可哀想な人なんだな、とスルー。自分に対する攻撃性を持った発言を全部真っ正面から受け止めるからツラいのであって、受け止めないで避けてもいいってことを知っておくと随分気持ちが楽になる。

  • あえて自分への悪意は見ない様にする

可視化されて見えてしまうから気になるのであって、悪意を投げつけてくると分かっている人の発言は読まない、ブロックする。何か建設的な意見交換ができるのだったら、やりとりする余地も残っているかもしれないが、単なる罵倒のぶつけ合いになってしまうのだったら、互いに触れ合わない方がお互いのため。これは現実でもそうだけど。

  • 自分へのアクセス手段をカットする。

自分のブログのコメント欄で悪意を書き込まれるなどという場合にはコメント欄を許可制にしたり閉じてしまうといい。ファンが大勢になると決まってアンチも現れることから、芸能人ブログなどではそもそもコメント欄が監視制になってたりするのは知ってる人は当たり前に知っている公然の秘密。


対抗手段ではないが、悪意を引き寄せない秘訣


類は友を呼ぶ、ではないが、他人に対して悪意をぶつけるような発言をしている様な人の所へは、どうしたって悪意が集まり易い。だから、悪意を引き寄せないためには、まず自らの発言で悪意をまき散らさないってのが一番。



そして、自分に対する悪意だと思ったものが、よくよく冷静にやり取りしてみると単なる誤解だったりする場合も結構ある。ネットでの発言が断片化され、主張が細切れになって読まれることが増えたせいで、自分の主張のごく一部分だけを見て反論、更にはエスカレートして悪意をぶつけられるなんてことも起こる様になった。互いが冷静にやりとりできる余裕を持っていれば、誤解が解ける場合もある。



ネットの普及で我々は大きな可能性や能力を得たと同時に、そこからくるフィードバックは場合に寄っては自分に悪影響な場合も多々ある。この悪影響は自分のエリアを拡大したときに、他人のエリアとぶつかって起こる拒否反応みたいなもの。今後、ますますネットは拡大し、人々がぶつかりあう場は増えるのは間違いないので、今のうちにそれとうまく付き合う方法を学んでおきたい。