現実とネットとを彷徨いながら生きる生き方

匿名と実名と私。 | NORIROW'S DIARY」を読んで。


ネットで活動していくとき、戸籍上の名前である本名を使うことなく、ネット上での名前を名乗ることがあたり前だったあの頃。



自分にとって、ネットってのはインターネットの前にやってたパソコン通信時代から繋がってる。

そんなパソコン通信時代、運営会社からもらった自分のIDだけじゃ誰だか分かりにくいってので、ハンドル名と呼ばれるネットでだけ通じる名前を名乗ってた。



特に深く考えることもなく、自分のハンドル名として名乗ったのは「hejihogu」という名前。なんのことはない、TVゲームをやるときに良く使ってた気に入ってた名前をそのまま流用しただけ。

ゲームでこの「hejihogu」いや、ゲームだと「へじほぐ」だったけど、を使い出したのは1990年代前半、そしてそれをネットでのハンドル名にしたのが確か1995年くらい。気づけば、もう20年もこの名前と付き合ってることになる。



今のように大勢が当たり前のようにネットを日常的に使う時代ではなかった頃、ネットってのはどこかにある別世界で、そこで夜な夜な知り合い達とやりとりするという、そんな場所。

戸籍上の本名とは違う別の名前、ハンドル名を名乗ってのネット活動は、ある意味もう一人の自分を作り出しているようなものだった。



もちろん、本名の自分もハンドル名の自分も、本体は一人、同じ人間。

でも、本名の自分の活動で自分のすべての面を晒し出している訳じゃなくて、現実の人間関係の中で出せる面を出しながら生きているように、ネットでのハンドル名の自分もまた、ネットで出せる面を選びながら生きてきた。


世の中って、あまりにも縛られるものが多いような気がしています。
社会的環境や、属してる組織、置かれている立場、そして世の中の風潮…。
だから「思い」や「志」があっても行動に出にくいパターンも多いのだと思います。

匿名と実名と私。 | NORIROW'S DIARY

自分が生きながら感じてきた世の中の狭さ、自分の世界というのが、実際に自分のいる環境で触れ合えるたった数百人程度の人間の壁に阻まれて、「思い」や「志」が届かない、響く人がいないという虚しさ。

そんな思いを打ち破ってくれたのがちょうど22歳頃から始めたネットの向こう側の世界だった。



自分の「思い」や「志」、言い換えれば「好きなこと」や「考え」なんかを投げかけると、どこからかそれに反応してくれる声がある。反応してくれる人がやってくる。

「面白そうだ」とか「興味深い」と思う何かを発信してる人を見つけて声をかけると向こうからちゃんと反応が帰ってくる。



もちろん、そんなことは現実の世界でだってできるのだけれども、ネットではそれが場所と立場を飛び越えて行えた。狭い壁の中のように感じてた自分の周りの世界が、一気に広がった感じがした。



そうして、ネットで知り合い、語り合う仲間が増えるうちに、実際にその人達とオフ会で相まみえるようにもなった。

もちろん、現実で集まろうとすれば場所の制約が発生するけれど、一旦集まった仲間内では年齢や立場は関係なく気ままに語り合える、そんな楽しい時間を過ごすことができた。きっとそれは、立場や環境ではなく、自分たちの内なる思いを通じて知り合い、繋がった仲間だったから。

そのあまりの楽しさに、場所の制約を振りきってオフ会に参加するためだけに北海道の札幌からわざわざ本州の各地まで遠征してた時期もあった。



ネット上でそうやって活動できたのは、この「hejihogu」ってハンドル名を17年余りにわたり、引き続いて使ってこれているのは、ネットでの活動も、もう一つの世界での自分の活動だと思ってきたからではないかと思う。

それは単純な話で、現実の自分が本名で行動できないようなことは、ネットのハンドル名でもしない、ってそれだけ。



ネットに参加し始めた最初の頃から、ネットってのは「現実と切り離された別世界」なんかじゃなく、「現実のあちこちを仮想空間で繋いでる別世界」という感覚があって、だからこそ現実でできないようなことはネットでもしない、ってのに繋がってた。



自分に都合が悪くなったらリセット! そんなゲーム感覚でネットを使う人も多いのだろうけど、自分にはそういう使い方は出来なかった。

現実の本名の自分とネットのハンドル名の自分、たぶんざっくり言っちゃえば半々だよね、ってくらい両方の世界での行動から自分は成り立ってる。



現実やネットでやりとりする相手が「本名」でも「匿名」でも別にかまわない。ただ、その人のその名前にどれだけの思いがこもってるか、どういう思いで行動してるかってところは気にする。

どれだけ本心でやりとりできるか。



ネットで広がった世界を通じて、自分のやりたいことや可能性を広げられたら面白いし、そうなって欲しくていろいろ考えてる。ネットのあちこちに遊びに行ってる。そこから現実に繋がる何かを考えてる。

ネットの世界にいち早く半分浸かっちゃった自分みたいな人達だからこそ、ネットと現実が融合してくこれからの時代の新しいあり方を考えられるかな?って。