ネットの人と会うことのパターン


ネットの人と会うことについて - おれはおまえのパパじゃない」を読んで。

ネットで知った人とリアルで出会うことについての話題。


「友達になりたい」と「あの人を見てみたい」の違い


関連する話題をいくつも眺めてて思ったのが、ネットで知った人とリアルで会うことってのは「友達になりたい」、「あの人を見てみたい」という二つのパターンに分けられるということ。

「友達になりたい」ってのは、ネット上で何かを発信している人を見て、その人と交流を持ちたい、よしんば友達になりたいと思う心境。

「あの人を見てみたい」ってのは、ネット上の有名人がどんな人なのかを一度見てみたいってのや、芸能人とファンみたいな関係をネットで知った人(芸能人)と自分(ファン)の間で考える場合。



このパターン分けに大きく関係してそうなのが、その人がネットをどう捉えているかという意識。ネットをリアルの一部、もしくは延長線上として捉えている人は「友達になりたい」派が多そうだし、ネットはネット、リアルはリアルと両者を分けて考える人は「あの人を見てみたい」派が多そう。


ネットの卑近なところで言うと、こういう経験ないスか? ずっとファンだった人とオフ会で会うようになって、ようやく友達になれたみたいなところで、その人のサイト見なくなっちゃうっていう。ずっとファンだったのに。やっぱ友達になっちゃったからですよね。友達付き合いは続くけど、その人のサイトには興味が薄れていく。寂しい。こんなはずじゃなかったのに。友人の近況を知るための回覧板くらいのレベルになっちゃう。

私には「ファンだった人とオフ会で会う」という認識がないからなのだろうが、ここで言われてる経験は全く感じたことがない。

「ずっとファンだったのに、友達になってサイトを見なくなる」というのが分からない。ネット上で知って、その後リアルにあった後、友達と言えるような関係になった人のサイトは会う以前と同様か、もしくはそれ以上に見るようになるので。

上で取り上げた「ネットをリアルの一部と捉えている」か「ネットとリアルを区別している」かって違いがこういう部分で出てくるのかもしれない。


私にとっては、ファンというのをあまり感じず、ネットで知った人を取り込んで友達にしていく感覚があるのに対し、id:kowagariさんの場合はファンと友達を区別して認識しているという感じか。


ネット→リアルで会った後の関係


ネットで知った人とリアルで会った後、その後どういう関係になるかはケースバイケースなんだろうけど、友達といえる存在になるのは一部で、たいていは一回、もしくは何度か会ったことがある、くらいの関係に収まる。

テラヤマさんの記事だと、会ったあと、友達になる(友達の定義はいろいろだが、ここでは「直接に会うような交流が続く」としておく)ということが前提になっているのが違和感の原因だった。直接会ったのなら、その後も会うことが続かないと失礼という意識があるのかもしれない。しかし、自分の場合、会ったあとも、継続的にお互いにサイトを読んで、コメントする程度で、プライベートでやりとりしたり、会ったりしないという距離感のネット人間関係は結構あるので。

オフ会などで一回〜数回会ったことがある人は、一回も会ったことが無い人よりはより友達に近い存在にはなるのだけれども、「頻繁に会ったり、マメに連絡を取り合ったりする友達」という段階になるには、リアルで会うことを何回か繰り返したり、ネット上で単に互いの書く物を閲覧しているというレベルより上のより多くのコミュニケーションを取ることのできる方法での付き合い(掲示板、SNSメッセンジャー、チャットなどでのやりとり)がないと、そこまで進めない。

こうしたコミュニケーションを取るには、双方からの相手への興味がないと難しいので、実際にリアルで会った人のごく一部としかそういう関係にはならない。



そういう親しい意味での友達までならなかった人でも、実際にリアルで会った後にそのことがきっかけでその人の読む物を見なくなったということはほとんど経験がない。

『「ネット」と「リアル」』で二分できない、もっと細かい段階があるような気がしています。 (たとえばブログという)一ヶ所で気に入っても、そことは別ののノリが支配する(ネット内の別の)世界でも気が合うかどうか。 多対多の世界だけでなく、一対一(メールとか)でも気が合うかどうか、そもそもそれを求めるのか。 「憧れ」のような心理だと、かなり限定した段階で関わりを止めておかないと却って辛くなるような。

「ネット」と「リアル」ってのは、互いの存在を認識できる場所の違いでしかなくて、互いの認識、親しさに細かい段階があるような気が。


そこで出てくるのが「友達」と「ファン」の違い。

こちらから一方的な憧れを持つ「ファン」という認識を相手に対して持ってる場合には、敢えてそれを自分と同レベルな存在である「友達」に落としたくないという心理が働くとすると、ネットではその人の発信するものを見るけれど、実際には会いたくないって存在が分かる様な気がする。


パソ通の頃からそうやって近しい人とはどんどんオフして飲んで、仲良くなればパソ通関係無しで飲んだり遊びに行ってたりしたしね。それがネットであっても同じ感じかな。

パソコン通信の時代は、個々の場所がなくて参加者同士がフラットな関係だったので、「友達になりたい」という状態が多かったんだと思う。私のその口。

パソコン通信時代でファンというような状態が見られたのは、活発的な活動をしているごく一部の人か、シスオペのような管理者側の存在くらいかな。


ネットだけの知り合いってのがミソで、回線切っちゃえば、ホントまったく関係がなくなっちゃうんだよねぇ。行き違いなどが原因で、相手のことを目に入れないようにしようとすれば、簡単に完全に消してしまうこともできなくもなく、そうなれば話し合いしようにも弁解する余地も出来ない。そうでなくても音信普通になれば、他に接点がなければ、それこそ元気にしてるのかすら判らない。

ネットからできた知り合いってのは、リアルでの絡みが薄い分、関係が無くなるときはあっさり無くなる。


でも、音信不通ってのは、実はリアルの方でも結構ありがちな話で、引っ越しやら電話番号変更などの後に新しい連絡先を伝えなければ、ネットの知り合い同様にあっさり関係が無くなってしまったりも。



たぶん、ネット全体で見ると少数派なのかもしれないけれど、ネット上での自分のハンドルをずっと持続して使い続けている人で、自分のブログやアカウントをリセットしない人ってのは、ものすごい消息をつかみやすい存在なのかもしれない。いったん、ハンドルを知って活動場所をつかんでしまえば、ずっとそこで追い続けられるから。


ネット→リアルで会ったとき


ネット→リアルで会ったとき、案外悩むのが共通の話題。


何かしらの接点(共通の話題)が会って出会うときは、その共通の話題について語ればいいので困らないんですが、そういう接点がない場合(大規模オフ会、Twitterはてな2chなどコミュニティ参加者での集まりなど)、自己紹介や名刺交換くらいでぴたっと話が終わっちゃったりすることも。

サシ〜少人数(10人程度まで)くらいのオフ会に参加するとき、参加者のことを下調べしていくってのは、話の話題を探すための下準備で、オフ会で場を盛り上げる人なんかはこういう準備がマメだったりする。


あと、向こうがこっちのことを知っていて(自分が発信しているものを見ている)、こっちが相手のことを知らない場合とかは、こっちから話題振れなくてもやもやすることもある。

で、何が言いたいかって言うと、会うということは、その会う相手を多少なりとも楽しませる何か(興味深い話だったり、愉快な話だったり、勉強になる話だったり、中身はそれぞれですが・・・)をお土産として持っていかないとならないようなプレッシャーを伴うことでもあるというのが、私の中の共通見解だったりします。

そういう意味で、全く認識がなかったりほとんど無かったりする場合には出会うことへの障壁は高いけれど、ネット上で絡んでたり、何かしらのコミュニケーションを取っていて、互いのことを知れば知るほどこういうプレッシャーは減っていって、会いやすくなるのだろう。


リアルの私は友達としては魅力に欠ける人なのですが、書いているブログが好きだという人なら (ブログ+リアル)÷2 で合格点にしてもらえないだろうかという期待がありました。しかしリンク先の記事を見ると、ブログはブログでリアルはリアルみたいです。リアル単独で魅力がないとお友達になってもらえないのですね。がく。

魅力があるかどうかは相手が判断することだから、リアルでの自分を必要以上に卑下することはないと思うのだけど、出会った人の印象をどう見るかは、最初に書いたネットをどう捉えているか?ってのと関係がありそう。

ネットとリアルを同一、もしくは延長線上と捉えてる人は「(ブログ+リアル)÷2」で見てくれそうだし、区別してる人は「リアル」での印象で認識するという。


地域による差


ネットをリアルと同一か、区別しているかで、「友達になりたい」のか「あの人を見てみたい」のかが分かれる、という話を最初の方で書いたけれども、これは地域による差もあるかもしれない。



というのは、人口が多い首都圏、都会などになると、必然的に有名人が存在している数が増えるので「あの人を見てみたい」的なファン的存在として会ってみたい、というのが増え、逆に人口が少ない地方になると有名人に会うというよりかは、地域に住んでるネットを通じて出会える人と「友達になりたい」という場合が増えそうだということ。


これはあちこちで開催されているオフ会のレポートを見たり、自分で実際に地方、都会の両方のオフ会に何度も参加してみて感じたことでもある。


オフ会に対する心構え


このエントリで取り上げて来た話ってのは、どっちが正解とかいう話ではなく、オフ会に参加する人にもいろんな考え方がある人がいるんだ、という話。

自分がどのパターンに当てはまるか、オフ会を通じて人と会うことに何を求めているのか?というのは、オフ会に参加する前に一度くらいは考えておいてもいいかもしれない。



かつては、学校や会社、地域のコミュニティくらいしか人との出会いの場が無かったのが、こうしたネット→リアルの出会いの場も活用できるようになった今、うまくそういう場を使えば、自分の世界を広げるいい手段になる。